【夏の甲子園】コロナ13人集団感染の宮崎商が史上初の参加辞退 八田会長「最後まで大会続けたい」 

雨天順延続きの甲子園に更なる衝撃が…

第103回全国高校野球選手権の大会本部は17日、オンライン会見を行い、チーム内で選手らの新型コロナウイルス陽性が判明している宮崎商(宮崎)の辞退を発表した。同校は春夏連続5度目の夏の甲子園出場で初の日本一を目指していたが、同校は19日の初戦を前に涙を飲むことになった。3月に開催されるセンバツを含め出場校の辞退は史上初めてのケースで大会関係者の間でも衝撃が広がっている。

この日の会見までに宮崎商の新型コロナウイルス陽性者は医療機関の検査によって13人、保健所から濃厚接触者が8人と判定され、大会本部側は同校について「集団感染」と判断。同校に関しては前日16日、選手1人が14日夕方に発熱し、15日に病院でPCR検査を受け、新型コロナウイルス陽性だったと発表していた。その後、翌16日になって他の選手ら5人の陽性も確認され、この日の17日朝には新たに7人の感染が判明したという。

また、宮崎商は地元出発前に大会本部が実施したPCR検査では全員が陰性となっており、甲子園到着後もガイドラインに沿って感染防止策を講じていたと説明されている。

出場辞退については、この日の朝に宮崎商の学校長から日本高校野球連盟・小倉好正事務局長のもとへ電話連絡が直接入った。宮崎商の初戦は大会7日目(19日)の第1試合で智弁和歌山(和歌山)との2回戦が予定されていたが、この決定により智弁和歌山の不戦勝、宮崎商の不戦敗となる。会見に出席した八田英二会長は「宮崎商の選手たちの無念を思うとまったく言葉もない。厳しい練習を重ね、宮崎県代表の座を勝ち取り、いよいよ晴れ舞台というところでの辞退。悔しさはいかばかりか。私も本当に大変残念に思っている」とコメントした。

今大会ではすでに複数の参加校からコロナ感染者が発生している。大会前のPCR検査などで作新学院(栃木)の部員3人の感染が確認されたものの、大会本部は「個別感染」の事例と判断し、大会参加を容認。大会中には東北学院(宮城)から選手1人の感染が初戦の後に確認されており、他の選手ら4人も濃厚接触者と判断された。小倉事務局長は「現時点で東北学院は個別感染と認識し、PCR検査をしつつ試合(出場)に向けて準備していく」と説明しており、同校の出場についても認める方針だ。

今大会はコロナ感染の事例が相次いでいるだけでなく、この日の第2試合以降の3試合が翌18日に降雨順延になったことも含め悪天候続きで全日程消化に黄ランプが点灯している。

会見では「大会の打ち切りは考えていないのか」との厳しい質問も向けられたが、八田会長は「まだ過程の質問なのでなかなかお答えすることはできないが、私どもとしては大会の最後まで続けられるよう、感染対策を強化して新たな集団感染がおきないようにしたいと思っている。行政機関の指導には従うつもりだが、国や自治体の指針に沿って新型コロナウイルスの感染対策ガイドラインの徹底を図りながら最後まで大会は続けたい」と強調。今後もより一層の感染防止に心血を注ぎながら、あくまでも決勝戦まで「完走」し切る強い意欲を示した。

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