【テニス】大坂なおみ「涙」誘発の〝いじめっ子〟記者 自身コラムで騒動の詳細を記す

大坂なおみ

女子テニスの世界ランキング2位・大坂なおみ(23=日清食品)の「涙」が波紋を広げる中、その引き金を作った記者が自身のコラムを更新し、騒動の一部始終を克明に記している。

現在開催中のウエスタン&サザン・オープン(米シンシナティ)のオンライン会見(16日)で、大坂は地元記者からの質問に涙を浮かべ、会見が4分間中断した。これに激怒した大坂の代理人スチュアート・デュギッド氏は、質問した地元紙「シンシナティー・エンクワイアラー」のポール・ドーアティー記者を「いじめっ子」と揶揄(やゆ)した上で「ズーム(オンライン取材)に参加した誰もが彼の口調がすべて間違っていて、彼の唯一の目的が威嚇することだったことに同意するだろう。本当にぞっとするような行動だ」と非難した。

〝いじめっ子〟呼ばわりされたポール記者は翌日の同紙電子版にコラムを掲載。「私は月曜日に大坂にこう尋ねた」と記して記者会見のやりとりを克明に再現した。ポール記者は自らの質問内容を「あなたは記者会見場での対応が苦手ですね。しかし、自分のプラットフォーム(SNS)は積極的に利用して多くの利益を得ています。この2つのバランスをどうやって取っているのか?」とつづり、大坂が涙を浮かべたシーンについて「彼女はこの質問を理解できなかったのか、それとも不快に感じたのか。ズームでは議論したりニュアンスを伝える余地がありません」として、同じ質問を繰り返したと書いた。さらに「30秒ほどの沈黙の後」として、大坂の返答を次のように書き記した。

「私は若いころから多くのメディアに注目されてきました。それは私の経歴やプレーの仕方によるものだと思います。そもそも私はテニスプレーヤーなので、多くの人が私に興味を持ってくれている。その点では多くの人とかなり違っていて、自分ではどうしようもない。私がつぶやいたことや話したことで多くのニュース記事が作られてしまうことがあります。記者の皆さんと同じように私も模索しています」

自らの質問で引き出した大坂のコメント全文を記した上で、ポール記者は大坂を「正直で思慮深い」と表して「34年間シンシナティでスポーツを取材してきて、これまでに得たどんな答えとも違っていた」とつづった。さらに同記者は大坂の功績を書き記し「彼女は記者会見で苦戦している」「非常に人間的で、それを見せることを嫌がらない」と人間的な一面を表現している。

大坂は5月の全仏オープン前に「選手のメンタルヘルス」を主張した上で会見拒否の意向を表明。初戦快勝後に実行し、その後は〝うつ状態〟を告白して大会を棄権した。東京五輪の開会式では聖火リレー最終ランナーの大役を務めたが、3回戦でストレート負けを喫すると取材エリアを一時回避する騒動を起こし、その後のインタビューでは涙を見せていた。

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