【香港】隔離期間7日への短縮を中止[社会]

日本にも影響、デルタ株拡大で

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定例会見で水際対策の強化を説明する林鄭行政長官=17日(香港政府提供)

香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は17日の定例会見で、海外からの入境者が新型コロナウイルスのワクチンを接種し、抗体を保有していれば強制検疫(隔離)期間を7日に短縮する措置を中止すると発表した。これにより日本からの入境者も、最短で14日間の隔離が義務付けられることになる。感染力が強いデルタ変異株の流入リスクが高まっていることを受けたもので、ワクチン接種者に対して規制緩和を推進する政府の「ワクチンバブル」戦略はいっそうの後退を余儀なくされた。

香港はこれまで、3段階のコロナリスク分類で「B(中リスク)」に指定している国からの入境者に対し、コロナワクチンを接種済み、かつ指定医療機関の抗体検査で陽性が証明されれば隔離期間を7日に短縮する制度を設けていた。通常の隔離期間はワクチン未接種の場合は21日、接種済みであれば14日。

見直されるのは、この日本も含まれるBグループの抗体陽性者に対する隔離短縮措置で、今後は抗体の有無にかかわらず最短でも14日間の隔離を受けなければならない。抗体検査は本来であればきょう18日から、到着時に空港内で受けることも可能となり、日本からの来港者にとって負担軽減になるはずだった。

リスク分類で「A(高リスク)」に属する国はもともと21日間の隔離が必須であり、変更はない。「C(低リスク)」の国は引き続き最短7日間への短縮が認められるが、20日以降はオーストラリアのリスク分類がBに引き上げられるため、対象国はニュージーランドのみとなる。

■行政長官「間違いではなかった」

抗体検査の結果に基づき隔離期間を短縮する措置は6月30日から始まったばかりで、わずか1カ月半で政策の転換を余儀なくされたことになる。林鄭氏は「当時の措置が間違っていたとは思わない。われわれは市民の要望に応じて常に政策の調整を行う」と述べた。

政府は16日にも、米国やオーストラリアなど16カ国に対する新型コロナウイルスのリスク指定を引き上げ、これらの国から入境する人への検疫を強化すると発表した。ワクチン接種を前提に海外との往来正常化を推進しようとしてきた香港だが、変異株のまん延によって水際対策は再び強化の方向へと向かっている。

■12%が隔離2週目に感染発覚

今回の隔離措置の見直しは、前日16日に開かれた政府の科学委員会と専門家顧問団による会議の提言を受けて決定された。同会議はデルタ株のリスクを強調し、海外からの流入症例による脅威が高まっていると指摘。デルタ株の感染が海外で急速に拡大している状況を踏まえれば、流入症例によるウイルスの流入が域内での感染を引き起こす可能性があると警告した。

専門家顧問団の一人、香港中文大学の許樹昌(デビッド・ホイ)教授(呼吸器学科)によると、香港では4月から今月15日までに、ワクチン接種を済ませていた入境者の感染が確認された事例が52件に上る。うち88.5%は指定ホテルにおける隔離期間の最初の7日以内に感染が判明したが、残り約12%は隔離2週目での感染発覚だった。

隔離期間が7日に短縮されれば1割以上の感染が隔離期間中に見過ごされる計算となり、許氏は会議後の会見で「隔離期間は慎重に検討しなければならない」と述べた。14日には実際、米国から入境した女性が7日間の隔離明けから1週間後に感染が判明し、政策見直しを求める声が高まっていた。