ソフトバンク「覚悟の出血」コロナ禍で2度目の “自主無観客” ナインの年俸も通常査定

ソフトバンク・孫正義オーナー

独自の決断のワケとその影響は――。地元・福岡県に緊急事態宣言が発出されることを受けて、ソフトバンクは主催試合を自主的に無観客で開催することになった。5月から6月にかけての発出時も無観客開催を実行しており、今回で2度目となった。

東京などでは緊急事態宣言下でも有観客で試合を行っているが、もちろん余裕があるわけではない。期限は9月12日まで。本来であれば盛り上がる時期だけに大きな痛手だ。独立採算制で一般的にイメージされている「孫マネー」はない。昨年ペイペイドーム隣に複合商業施設を完成させるなど、高収益、高支出のスタイルで球団運営をしており、むしろ親会社からの補填がある他球団と比較すると、コロナ禍の影響は大きい。今年6月に発表された決算は特損を計上して75億円の最終赤字だった。

それでも理念を崩すことはない。新型コロナの収束を第一とすることが、孫オーナーを筆頭としたグループのポリシーでもある。「痛いですが、目先の利だけを追ってもいけない。覚悟の出血です」(球団関係者)。また、12球団トップの選手年俸の行方も気になるところだが、2年連続の異常事態でも〝通常査定〟が貫かれるという。

「現在の苦しい時期が終わりエンターテインメントの回復があった時に、お客さんに盛り上がってもらうためには、レベルの高い選手たちのプレーが必要不可欠になります。球団が選手への投資をやめることはありえません。無観客はこちらが勝手に決めていること。日本一を目指しているチームとして順位によって厳しい査定になることはあっても、今回の状況で左右されることはありません」(球団フロント)

状況を見つつ、ワクチン接種を2回終えた人の入場なども検討していくというソフトバンク。逆転Vに向けての勝負どころを迎える中で我慢の無観客に臨む。

© 株式会社東京スポーツ新聞社