キヤノン、8K放送用カメラ対応ポータブルズームレンズ「10×16 KAS S」発表

キヤノンは、1.25型センサー搭載の8K放送用カメラに対応するレンズの新製品として、放送用ポータブルズームレンズ「10×16 KAS S」を2021年10月下旬に発売する(受注生産)。希望小売価格はオープン。

10×16 KAS Sは、蛍石や特殊低分散ガラスのUDレンズ、Hi-UDレンズなどを最適配置し、色収差を良好に補正。色にじみや、輪郭の色づきを徹底的に低減し、画面の周辺部まで優れた色再現性を実現。同社がこれまで培ってきた光学シミュレーション技術を駆使した最適なレンズ配置に加え、高精度な加工技術や組立技術による製造誤差の抑制により、ズーム全域において画面中心部から周辺部まで、8K映像に求められる高い解像力と高コントラストを実現しているという。

インナーフォーカス方式や多群ズーム方式、大口径非球面レンズなどの採用により、焦点距離によらず、画面中心部から周辺部まで高い光学性能を実現。レンズのコーティング技術や、鏡筒内面の反射を低減する設計により、フレアやゴーストの発生を抑制。HDRやWCG映像撮影時に階調豊かな映像を得ることが可能だとしている。

ITU-R BT.2020ベースの色収差補正データを搭載し、高精度な色収差補正を実現し、階調性に優れ、質感や立体感のある、人間の視覚に近い自然な映像表現が可能。

ズーム全域で開放F値2.8の明るさと、1.25型センサー搭載の8K放送用カメラに対応する光学性能を備えながら、焦点距離16mmから160mmをカバーする高倍率10倍ズームを実現している。

従来の2/3型4K放送用ポータブルズームレンズで実績のある高機能デジタルドライブユニットを搭載。

高分解能16bit絶対値エンコーダーを採用したデジタルドライブユニットの搭載により、ユーザーの操作意図を再現する高い制御性能を実現。高精度な位置検出を可能にし、実際の映像とバーチャル映像を合わせるキャリブレーションが容易だという。

絶対値エンコーダーの採用により、ドライブユニットに電源が供給された際に、初期化の動作をせずに、カメラ側の色収差補正機能や位置検出、ビューファインダー上の位置表示が可能。

20PIN端子を3カ所に備えることで、ズーム/フォーカスコントローラー(ともに別売)の両方を使用した場合でも、バーチャルシステム用信号出力端子を確保することが可能。ドライブユニット上に情報ディスプレイを搭載。各種機能を簡単に設定、調整、操作可能。

8K放送用カメラに対応する光学性能と10倍ズームを備えながら、質量約2.9kgの小型・軽量な筐体を実現しており、肩担ぎでの取材や機材運搬時に求められる機動性を確保している。

© 株式会社プロニュース