ふたつのアジアメーカーがグリッドに着く可能性も。LMDh、ル・マン・ハイパーカーに関心

 歴史的なコンバージェンス(収束、収斂を意味する)合意を受けて、FIA、ACOフランス西部自動車クラブ、IMSAのトッププロトタイプカテゴリーのレギュレーションに対して、最初のテクニカル・ワーキンググループ・ミーティングに参加していなかった自動車メーカーが新たに関心を示していると言われている。

 Sportscar365は、アジアを拠点とする少なくともふたつの自動車メーカーが、ル・マン・ハイパーカー(LMH)を主流とするWEC世界耐久選手権と、LMDhを採用するIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の相互参戦を2023年から可能にする、最新のレギュレーションに関する情報を求めてきたことを理解している。

 これらのメーカーが最近のテクニカル・ワーキンググループ・ミーティングに参加したかどうかは不明だ。

 複数の情報筋によると、中国の吉利汽車(ジーリー)とインドのタタ・モーターズがこれらの初期のディスカッションに参加しており、最終的にはプロトタイプレースのグリッドに新たに追加されたメーカーが並ぶ可能性がある。

 ジーリーは現在、ロータスやボルボ、リンク&コー、プロトンのブランドで市販車を販売中だ。また、イギリスのジャガー・ランドローバーは2008年からタタの子会社となっている。

 いずれも、先月開かれたFIA世界モータースポーツ評議会によって、コンバージェンス協定と技術規則の原則が承認されたことを受けて、具体的に動き出したものと理解されている。

 今回の話がどの程度まで現実味があるのかは不明だが、ここ数カ月の間に多数のコミットメントがなされ、さらに今後もいくつかの発表が予定されていることから、新しいトップクラスのプラットフォームはさらに勢いを増している。

 すでにLMH規定で戦っているグリッケンハウスとトヨタに加え、2023年までにグリッドに着くことをアナウンスしているアウディ、アキュラ、BMW、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、さらに複数社を含めて将来のスポーツカーレースのグリッドには、少なくとも10社の自動車メーカーが登場する予定だ。

■NISMOがLMDh評価用にLMP2シャシーを入手も、動きは見られず

 キャデラックとランボルギーニは、それぞれ2023年と2024年のLMDhデビューを今後数カ月以内に確認する準備を進めている。また、アルピーヌは今週のル・マンで新しいハイパークラスへのエントリー計画をアナウンスする予定。さらに、バイコレスは来年のWEC参戦に向け、ル・マン・ハイパーカーの開発に取り組んでいる。

 イギリスのマクラーレンとベントレーについては、まだLMDhプロジェクトに関わる可能性があると考えられているが、初期段階の評価を行っていたヒュンダイとフォード、そしてニッサンは、少なくともこの段階では可能性が低いとみられている。

 Sportscar365は、ニッサンのモータースポーツ活動を担うNISMOが今年初めに評価用のLMP2シャシーを入手したものの、ここ数カ月は沈黙を守っていることを理解している。

 また、来季2021/22年シーズン限りでABBフォーミュラE世界選手権から撤退するとの報道がなされているメルセデスも、現時点ではLMH、LMDhプログラムに関心を持っていないようだ。

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