可夢偉組7号車トヨタが暫定ポール。8号車との間にアルピーヌが割り込む/ル・マン24時間予選

 8月18日(水)、WEC世界耐久選手権第4戦として開催されている第89回ル・マン24時間レースの予選がフランス、サルト・サーキットで行われ、TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)がFP1に続きトップタイムをマーク。3分26秒279というタイムで暫定ポールポジションを手にした。最終的なグリッド順は明日19日(木)に実施されるハイパーポールで決定する。

 2021年のル・マン24時間の予選は、昨年導入された予選セッションとハイパーポールによる“シュートアウト方式”を引き続き採用している。この予選方式では各クラス上位6台のマシンが、翌日に行われるポールシッターを決めるスーパーポールに駒を進める一方、上位7台以下の順位は60分間の予選セッションで記録したタイムによって決定する。

 レースウイーク最初の走行となったフリープラクティス1回目(FP1)に続いて実施される予選セッションは定刻19時にスタート。路面コンディションはドライ、気温19.7度、路面温度は29.9度だ。

 セッション開始から7分後、ル・マン・ハイパーカー(LMH)規定に準ずるハイパーカークラスに参戦するトヨタの2台がアタックを行い、小林可夢偉駆る7号車トヨタGR010ハイブリッドが3分26秒279を記録。僚友ブレンドン・ハートレーがドライブする8号車トヨタが3分27秒671で続いた。直後、テルトル・ルージュで48号車オレカ07・ギブソン(アイデック・スポール)がクラッシュを喫した影響で、このセッション最初のフルコース・イエロー(FCY)が出される。

 セッション再開後は36号車アルピーヌA480・ギブソン(アルピーヌ・エルフ・マットミュート)が3分28秒262をマークし、トヨタ勢に次ぐ総合3番手につける。その36号車はセッションの3分の2を迎えるタイミングでマシュー・バキシビエールが自己ベストを更新。3分27秒650で総合2番手にポジションを上げた。
 
 残り15分、ダンロップ・シケインでスピンしたLMGTEアマクラスのマシンがストップしたことで、スローゾーン(SZ)が出されたのに合わせて2台をピットに戻したグリッケンハウス・レーシングは、オリビエ・プラ駆る708号車グリッケンハウス007 LMHが3分28秒256までタイムを縮め総合4番手に浮上した。また、ル・マン王者ロマン・デュマに交代した709号車は最終盤に3分29秒381を記録し総合7番手となった。

 激戦区のLMP2クラスは、序盤にクラストップに立った41号車オレカ07・ギブソン(チームWRT)を38号車オレカ07・ギブソン(JOTA)が逆転。アントニオ・フェリックス・ダ・コスタが記録した3分29秒144というタイムで総合5番手に食い込んでみせた。

 クラス2番手は26号車アウルス01・ギブソン(Gドライブ・レーシング)となり以下、41号車オレカ07、65号車オレカ07(パニス・レーシング)、32号車オレカ07(ユナイテッド・オートスポーツ)、6番手の23号車オレカ07(ユナイテッド・オートスポーツ)までがハイパーポール進出の権利を得ている。

アルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480・ギブソン
JOTAの38号車オレカ07・ギブソン

■GTEアマクラスに参戦の日本勢はグリッドが確定

 LMGTEプロクラスはAFコルセの52号車と51号車フェラーリ488 GTE Evoが暫定ながらワン・ツーを決めた。トップタイムはダニエル・セラの3分46秒011だった。跳ね馬に続いたのは92号車ポルシェ911 RSR-19(ポルシェGTチーム)で、この3台のみ3分46秒台に入った。
 
 クラス4番手は64号車シボレー・コルベットC8.R(コルベット・レーシング)、5番手に72号車フェラーリ488 GTE Evo(ハブオート・レーシング)が続き、WECレギュラーの91号車ポルシェ911 RSR-19が6番手に。北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権から参戦の79号車ポルシェ911 RSR-19(ウェザーテック・レーシング)と、63号車シボレー・コルベットC8.R(コルベット・レーシング)はクラス4列目のグリッドが確定している。

 LMP2に次ぐ計23台のエントリーを集めたLMGTEアマでは、88号車ポルシェ911 RSR-19(デンプシー・プロトン・レーシング)が同クラスで唯一3分49秒を切る3分48秒620で堂々のトップタイム。2番手86号車ポルシェ911 RSR-19(GRレーシング)に対し0.5秒近くの差をつけた。
 
 2台のポルシェに続くクラス3番手は47号車フェラーリ488 GTE Evo(チェティラー・レーシング)、4番手は71号車フェラーリ488 GTE Evo(インセプション・レーシング)、56号車ポルシェ911 RSR-19(チーム・プロジェクト1)が5番手となり、カットラインぎりぎりの6番手には33号車アストンマーティン・バンテージAMR(TFスポーツ)が入っている。
 
 木村武史組57号車フェラーリ488 GTE Evo(ケッセル・レーシング)はセッション後半まで上位6台の枠に残っていたものの、終盤に逆転を許しクラス8番手にポジションダウン。惜しくもハイパーポール進出を逃した。また、星野敏/藤井誠暢/アンドリュー・ワトソン組777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)もクラス19番手に沈みグリッドが確定した。

 賞典外となるイノベーション部門“ガレージ56”から待望のル・マン参戦を果たした元GPライダー、青木拓磨組の84号車オレカ07・ギブソン(アソシエーション・SRT41)は、総合29番手タイムをマークしている。

 2021年のル・マン24時間はこのあと現地22時(日本時間19日5時)から2時間のFP2が行われ、翌19日(木)はFP3とハイパーポール、そしてFP4が実施される予定だ。

AFコルセの52号車フェラーリ488 GTE Evo
デンプシー・プロトン・レーシングの88号車ポルシェ911 RSR-19
TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド
ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo

© 株式会社三栄