【東京パラリンピック】「ちょっと危機感がない」学校連携観戦実施に医療従事者から懸念の声

東京パラリンピック日本代表の結団式

東京パラリンピックで行われる小中学生の観戦を巡り、医療従事者から懸念の声が上がっている。開幕まで残り1週間を切った東京パラリンピックは、新型コロナウイルス禍の影響で無観客開催が決定。しかし、多くのパラ関係者の要望もあり、保護者の意向を踏まえた上で会場のある東京、千葉、埼玉、静岡の1都3県の小中学校が希望する場合は「学校連携観戦プログラム」が実施されることになった。

日本パラリンピック委員会(JPC)の鳥原光憲会長は「大きな意義があると思う」と評価。日本代表選手団の河合純一団長は「大変ありがたい。一人でも多くの子供たちに見ていただけたら。会場で見ることでカメラの外側を自分で見ることができるのが魅力」と意義を強調した。

かねて「共生社会の実現」に尽力してきたパラスポーツ界だが、7月上旬から全国各地でコロナの感染者が急増。ある医療従事者は「デルタ株で子供の感染が全国的に増えているし、子供が重症化している例も聞かれる。今は五輪の時期より感染者が増えているし、医療も逼迫している。(感染をしない)根拠がないし、命をかけてまで見に行くものではない」と表情を曇らせる。

続けて「ちょっと危機感がないかなと思う。無観客での開催なら、完全に無観客にしないと。児童や生徒はいいという根拠が分からない。しかも(小池百合子都知事の)『帰省は諦めていただきたい』などの発言と整合性が取れない」と苦言を呈した。

依然としてコロナ終息の気配は見えないだけに、不安材料が尽きることはない。

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