GTカテゴリーの将来性を見極めたいGM。コルベットによるル・マン参戦を重要視

 ゼネラルモーターズ(GM)のスポーツカー・レーシング・プログラム・マネージャーを務めるローラ・ウォントロップ・クラウザーは、ル・マン24時間レースにコルベット・レーシングが参戦することは、GMにとって「重要」であると語った。同氏はACOフランス西部自動車クラブのGTプラットフォーム将来性を見極めたうえで、レースプログラムのコミットメントを行いたいとした。

 GMはWEC世界耐久選手権とル・マンにおける将来のGTカテゴリーの構造についてACOが明確なビジョンを示すのを待っているため、コルベットのGT3プラットフォームへの投入、およびキャデラックのLMDh参戦をまだ正式に決定していない。

 現行のLMGTEプロクラスは来シーズンまで続くことが確定しているが、Sportscar365はこれが2024年にGT3仕様のマシンに移行し、その前年のWEC/ル・マンではアマクラスの参加者を対象とした単一のGTEクラスが行われる可能性があると考えている。

 不明確なのはGT3のプロクラスが設けられるのか、それとも現在のアマクラスに相当するプロアマカテゴリーのみとなるのかだ。これは長年にわたってル・マンに参戦しているGMのチームにとって不利益をもたらす可能性がある。

 クラウザーは、コルベット・レーシングがフランスの耐久レースに参加し続けるためには、ル・マンに何かしらのGTプログラムが存在することが「非常に重要」であることを認めた。

「それは、我々がブランドをどのように表現してきたかの一部であり、私たちがチームを率いて、最高の中の最高の人が我々のためにクルマを走らせてくれるということを知っているからです」

「もし、それができないとなれば交渉は破談になるでしょうか。わかりません。それを言う準備はできていません。しかし、私たちは今のようにセットアップをし続ける機会を得たいと思っています」

「もし、車両のプラットフォームを変更する必要があるならば、それは仕方のないことです。チームとドライバーがここにいること、その状況があることが我々にとって非常に重要なのです」

「(IMSAで)レースと結び付けられているのは素晴らしいことですね。私たちは興奮しているでしょうか。いいえ、しかし自分たちが何を扱っているかを知っているのは、よいことだと思います」

ゼネラルモーターズ(GM)のスポーツカー・レーシング・プログラム・マネージャーを務めるローラ・ウォントロップ・クラウザー

 彼女はさらに、「これは間違いなく私たちが議論してきたことであり、『我々は何をしているのか』ということが明確になっていない、曖昧さの一部でもあった」と述べた。

「IMSAはロード・アメリカでようやくGTDプロの着地点に到達したが、私たちはまだこのパズルの一部を持っています。2023年と24年はどうなるでしょうか」

 クラウザーは、コルベット・レーシングが来年のル・マンにGTE仕様のシボレー・コルベットC8.Rで戻ってくる計画を確認した。これはGMのファクトリー・スポーツカーレースのポートフォリオ内で、これまでに行われた唯一の正式なコミットメントだ。

「来年の(WEC/ル・マン)がどのようになるのかは分かっています」と彼女は語った。

「ACOはその点を明確にしてくれています。これはすべてのことに関わってくるものです。私たちは、バランスが取れていてすべての目標を達成できることを確認したいので、それが確認できなければコミットすることが難しくなります」

■キャデラックのWEC参戦は「プログラムの目標に依存する」

 クラウザーは、キャデラックLMDhによるWECプログラムは、キャデラック・ブランドがル・マンに参戦したいかどうかに掛かっていると述べ、コルベット・レーシングがイベントに招待されるために毎年行っているプロセスを紹介した。

「それはプログラムの目標と、キャデラックでその道を進むかどうかによります」

「年に一度、フランスで行われるビッグレースに参加するための要件についても、いくつかの議論が行われる予定です。もしそれが要件の一部である場合、私たちはここにいることがどれほど重要であるのかを判断する必要があります」

「歴史的に見ても(ル・マンに参戦することは)とても重要だと思います。また、私たちがその道を歩まなければならないことも分かると思います」

「生産面では、私たちはここ(ヨーロッパ)で徐々に存在感を高めています。だからこそレースプログラムでそれを補完する機会と捉えることができます」

「それはいつもエキサイティングです。しかし、繰り返しになりますが、まだ決定したわけではありません」

■GMは9月の発表を目指す

 ル・マンでのキャデラックLMDhプログラムの発表を延期したクラウザーは、コルベットかキャデラックのどちらかのプログラムを発表する次の機会は9月になるだろうと述べた。

「確認されたものは何もありません」と同氏。「私たちはこれらすべてを理解し、完全にコミットして道を進むことができるように全力で取り組んできました」

「すべてのプラットフォームで数年間のコミットメントを結ぶことになるため、自分たちで準備をして、『はい、大丈夫です』と言う準備ができ次第、アナウンスしたいと思っています」

「キャデラックで何が起こっているのか、シボレーではどうなっているのか、それぞれについて発表があると思います。私は9月中に何かがあると信じていますが、おそらく、その時点ではひとつの(ブランドの)発表になるでしょう」

「私たちはここ(ヨーロッパ)で何が起こっているのかを理解するために、まだ待っています。それが(金曜日の)ACOプレスカンファレンスの一部にあるかどうかは分かりません」

IMSAの最高峰カテゴリーDPIクラスに参戦しているキャデラックDPi-V.R
コルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.R 2021年WEC第4戦ル・マン24時間

© 株式会社三栄