勝利の方程式が崩れても…見えた“明るい兆し” DeNAは苦境をどう乗り越える?

DeNAのエドウィン・エスコバー【写真:荒川祐史】

無死満塁のピンチ、2ストライクと追い込みながら内角狙ったスライダーが…

■阪神 5ー2 DeNA(18日・東京ドーム)

セ・リーグ最下位で後半戦に突入したDeNAが、さらなる逆境に立たされた。17日に東京ドームで行われた阪神戦で山崎康晃投手が打ち込まれたのに続き、18日の同カードではエドウィン・エスコバー投手が逆転を許し敗戦投手に。これまでチームを支えてきた“勝利の方程式”が崩れた。チームに明るい兆しも見え始めた中、就任1年目の三浦大輔監督はどう乗り越えるだろうか。

18日の試合では、1-1の同点で迎えた7回、タイラー・オースティン外野手がバックスクリーンへ勝ち越し20号ソロを放ち必勝モードに入った。DeNAは7回を最速163キロ左腕のエスコバー、8回を山崎、9回を守護神・三嶋一輝投手が担うのが基本戦略である。

本来なら、続く8回は山崎がマウンドに上がるところ。しかし17日、1点ビハインドの8回に登板すると4安打を集中され3点を失い、1死しか取れずにマウンドを降りていた。これが、東京五輪で侍ジャパンの一員として金メダル獲得後の初登板。その疲労もあったのだろうか。三浦監督も「相手打者にしっかり見極められ、力強くスイングされていた。良くなかった」とはっきり不調を認めていた。昨日の今日で1点差を守るのは酷。そこで、7回は先発の大貫とワンポイントの砂田でしのぎ、8回に後ろ倒しでエスコバーがマウンドに上がった。

そのエスコバーが乱れる。先頭の糸原に左翼線二塁打されたのを皮切りに、3連打であっさり同点に追いつかれた。さらに無死満塁でロハスをカウント0-2と追い込みながら、内角低めを狙ったスライダーが足に当たり痛恨の押し出し死球。続く中野にも左犠飛を許し、点差を広げられた。

2018年の新人王、東の実戦復帰など明るい話題もあるが…

「エスコバーらしくなかった。スピードは出ていたが、(変化球のキレなどが)もう1つ。毎回抑えられるわけではないが、今日は悪い方が出てしまった」。三浦監督は試合後の会見で悔しさを押し殺した。

7、8、9回を担う3人は、適宜休養を与えることはあっても、そう簡単に入れ替えるわけにいかない。報道陣から「復調を願うということか?」と聞かれ、指揮官は「はい、そうです」とだけ答えた。

今季のDeNAは、コロナ禍で打線の中軸を担う両外国人の来日が遅れ、先発投手陣も手薄。その中で安定したリリーフ陣がストロングポイントだった。

ここにきて、2018年の新人王で昨年2月に左肘のトミー・ジョン手術(内側側副靭帯再建手術)を受けた東克樹投手が、7月11日の2軍イースタン・リーグで実戦復帰。1軍合流へ向けて確実にステップを踏んでいる。また、ドラフト1位入団し2年目の19歳・森敬斗内野手もショートでスタメン出場を増やし、新風を吹き込むなど明るい兆しも見え始めている。それだけに“勝利の方程式”復活は上位進出のために必須と言える。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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