【高校野球】京都国際の2年生左腕は悔しさ糧に4安打完封 夏初勝利、歴史変えた“エースの自覚”

前橋育英戦に先発した京都国際・森下瑠大【写真:共同通信社】

4安打完封に小牧監督「精神的な部分でだいぶ大人になった」

第103回全国高校野球選手権大会第6日が19日、甲子園球場で行われ、第3試合は京都国際(京都)が前橋育英(群馬)を1-0で下し、夏の甲子園初出場初勝利を果たした。

2年生左腕が成長を見せた。先発の森下瑠大投手(2年)は9回130球を投げ4安打10奪三振で完封。今春の選抜では、東海大菅生に逆転サヨナラ負けを喫したが、帰ってきた聖地のマウンドで躍動した。

1-0と息の詰まる展開でも動じなかった。小牧憲継監督は「決して本調子ではなかったんですけど、悪いなりにしっかり丁寧に投げ切ってくれた。精神的な部分でだいぶ大人になったと思います」と左腕の成長を称えた。

選抜でのサヨナラ負けを喫した悔しさから成長

初回、安打と自らの失策で無死一、二塁のピンチを作るも、岡田啓吾内野手(3年)を空振り三振、続く皆川岳飛外野手(3年)には四球を与え1死満塁となった。

「エースとして抑えないといけない場面だったので、気持ちを高めてマウンドに立ちました」

リベンジの機会は早くもやってきた。ギアを上げ、直球で2者連続三振。ゆったりとしたフォームから放たれる130キロ後半の直球に、打者は差し込まれていた。このピンチを凌ぐと、2回には3者連続三振と波に乗った。その後も3安打に抑え込み、京都国際の夏の甲子園初勝利の立役者となった。

指揮官も、バッテリーを組んだ中川勇斗捕手(3年)も、森下は精神的な部分が成長していると口を揃える。春はピンチで“逃げ”の投球をしていたが、今夏はインコースに腕を振って投げ込めるようになり、投球の幅が広がった。

「『マウンドに立ったら点を取られない』という印象を与えるピッチャーになりたかったので、今日はそれができたかなと思います」

エースの自覚が芽生えた2年生左腕が京都国際の歴史を変える立役者となった。(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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