【夏の甲子園】日程もう限界…悪天候続きで浮上する「早朝決勝戦」の究極プラン

19日の第1試合・近江―日大東北は降雨のためノーゲームになった

背に腹は代えられない。第103回全国高校野球選手権大会(甲子園)は19日、第1試合の近江(滋賀)―日大東北(福島)が今大会2度目の降雨ノーゲームとなった。この日も2試合が翌20日に順延となり、これで計7度目。今後も天候不順が予想されるなか、全日程消化を目指す大会本部はいよいよ禁断の究極プランも視野に入れざるを得なくなってきた。

またも〝水入り〟だ。第1試合・近江―日大東北が降雨のためノーゲーム。近江の1点リードで迎えた5回裏二死満塁の場面で雨が激しくなり、午前9時3分から2時間22分もの中断の末、12日の明桜(秋田)―帯広農(北北海道)以来となる今大会2度目のノーゲームが宣告された。第2試合の西日本短大付(福岡)―二松学舎大付(東東京)とともに順延となり、大会本部側は経緯説明と異例の悪天候をめぐる対応について同日に会見を行った。

大会本部側は民間気象情報会社の協力を仰ぎ、気象予報士の助言を基に試合開催の有無を判断しているものの「予報が難しい天候が続き、大会運営に苦労する日々が続いている」と説明。雨中強行の末にノーゲームとなった第1試合の実施経緯に関しても会見に出席した担当者は「午前5時半に集まって最初の協議を行ったが、その段階では予報を見極められない。それで1時間後の6時半にも打ち合わせをした。その段階では8時過ぎに少し雨は降るものの終了までは何とか持つだろうとの見立てで第1試合をスタートしたが、9時過ぎに急に激しい雨に襲われた」と釈明し、舞台裏でドタバタを強いられたことをうかがわせた。

また会見では、この日の2試合順延に伴って決勝が28日から29日に変更となったことも発表された。31日からは甲子園を本拠地とする阪神が中日、巨人を相手に6連戦を予定している。

「9月決勝延期説」も一部でささやかれているが、大会本部側は「そういったことではなく、今は29日までに終わらせて子供たちを教育の現場に戻したいと考えている」と否定。準々決勝後に唯一残されている「休養日」についても「高野連は3連戦の回避を掲げていることもあり、そこは強く取りたい」とし、変更するつもりがないことを強調した。

今後の予報では停滞する前線の活動こそ弱まっていくものの、甲子園付近は来週金曜日ごろまで不安定な悪天候が続く見込み。もう日程の猶予はなく「限界目前」と断じていい。高野連関係者も「もはや理想論を唱えられる状況ではなく、裏側では最悪の事態に備えるシナリオも想定している」と内情を打ち明けている。その流れの中で急浮上しているのが、ナイターの阪神戦が予定される31日同日に「早朝野球」で決勝を組み込む究極プランだ。

これまでの慣例として甲子園は球場整備等の面で「少なくとも明け渡しに数日が必要」とされてきたが、複数の高野連関係者の見解によれば「実際に神宮球場でナイター前に東都大学リーグの試合が行われる例もあり、急ピッチで整えれば甲子園でもダブルヘッダーは実務的に可能」という。ただ決勝戦が白熱した展開となり、今年のセンバツから決勝でも導入された延長13回以降のタイブレーク方式にまでもつれるなど試合時間が長引く可能性もある。しかも決勝戦は試合終了後、表彰式が行われることから多くの時間を費やさなければならない。それならば、あらかじめ「早朝からプレーボールをかければいい」という大胆な意見もある。

一部の関係者は「応援を制限するなどの制約も付帯しなければいけなくなりそうだが、例えば午前6時の試合開始が可能ならナイターとのバッティングを懸念する時間的問題はよほどのケースにならない限り解決する。それに加えて極端な話、何が何でも多くの学校が2学期始業式となる9月1日に間に合わせることを前提とするならば、表彰式の終了後の31日中に両チームが地元へ帰る強行日程も全くの不可能ではない」と語る。

前代未聞の早朝野球プランだが、想定外の事態が続く今夏の甲子園では何が起こっても不思議ではない。

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