長崎でカネミ油症検診 未認定女性「原因を知りたい」

 1968年に発覚したカネミ油症事件の被害者の健康状態を調べる検診が19日、長崎市滑石1丁目の県西彼保健所であり、未認定患者の子を含む30~70代の男女計14人が受診した。
 本年度検診は、新型コロナウイルス対策で昨年に続き対象を未認定患者に限定。検査項目も採血などに絞った。初めて受診した西海市の70代女性は当時、福岡県内で原因の汚染食用油を食べていたという。20年ほど前から「皮膚から油分が出て、手がべとべとする」症状に悩まされており、「原因を知りたい」と語った。一緒に受診した40代の息子は「今回初めて母がカネミ油を食べていたと聞いた。小さいころはアトピー症状があった」と明かした。
 患者の子や孫ら次世代被害者については、全国油症治療研究班が救済を念頭に影響調査を始める。国によると調査票を今月中に認定患者に送り、子や孫に渡してもらう。母親が認定患者の下田恵さん(32)もこの日受診。「広く救済につながってほしいので調査に協力したい」と話した。
 県内の本年度油症検診は19日で終了。五島、長崎両市4会場で計41人が受けた。会場別受診者数は玉之浦8、奈留14、福江5、長崎14。年代別は30代3、40代4、50代5、60代10、70代14、80代5。うち計14人が初受診だった。

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