高梁川志塾「倉敷薄荷ワークショップ」 〜 手作りアロマミストの香りを楽しむ

高梁川志塾は、高梁川流域におけるSDGsの達成を目指し、地域活動の中心的役割を担える人材を創出することを目的とした塾です。

2021年6月から2021年9月にかけて高梁川志塾 第2期が行なわれており、高梁川流域で活躍する講師たちによる約30講義が計画されています。

2021年7月31日(土)には、倉敷で栽培された薄荷(はっか)の商品開発を行なっている倉敷市地域おこし協力隊 岩崎真子(いわさき まこさん)によるアロマミスト作りのワークショップが行なわれました。

ワークショップに参加し、受講生とともに倉敷薄荷の香りを楽しんできたので、講座の内容を紹介します。

高梁川志塾の概要

画像提供:高梁川流域学校

高梁川志塾は、倉敷市委託事業として一般社団法人高梁川流域学校が運営する、高梁川流域における歴史・文化・産業・フィールドワークなどを通し、地域づくりや、持続可能な地域を担う人材育成、行動につなげることを目指す塾です。

受講コースは、以下の2種類。

  • 実習やプレゼンテーションを行なう「SDGs探究コース」
  • 座学として任意の講座を受講する「聴講生コース」

2020年11月から2021年2月にかけて高梁川志塾 第1期が開催され、2021年6月からは第2期が始まりました

開校式が2021年6月27日(日)に行われて、2021年9月26日(日)の修了式までに約30講義が予定されています。

講義の内容は、以下の5種類です。

第1期では、SDGsビジョン編、教養編、スキル編の3種類でしたが、第2期からローカルSDGsミッション編フィールドワークが新たに加わりました。

より詳しい内容を知りたいかたは、「⾼梁川志塾」の特設ページを確認してみましょう。

倉敷薄荷陳列所 店長 岩崎真子さんの紹介

講師 岩崎真子さんの経歴

講師の岩崎さんは、2020年10月から倉敷市地域おこし協力隊として着任し、倉敷薄荷陳列所の店長として、岡山で栽培された薄荷を使った商品の開発を行なっています。

学生のころ、スウェーデンの大学に留学し環境保護と経済発展の両立について勉強した経験のある岩崎さんは、環境負荷の低い商品の開発に携わりたいという思いを持っていました。

日本でも、環境保全につながるビジネスの仕組みづくりを実践したいと思い立ち、自然由来の方法で栽培され、かつて地域の特産品であった薄荷を展開する事業に目が留まったそうです。

岩崎さんは高梁川志塾 第1期の修了生でもあり、第2期では倉敷薄荷陳列所の取り組みについての講義を担当することになりました。

倉敷薄荷陳列所とは?

倉敷薄荷陳列所は、倉敷で育てた薄荷を活用した商品の販売所です。

倉敷の資源や特産品を活用してまちづくりを行なっている合同会社 吉備のくに未来計画が運営しています。

倉敷市立美術館の西側、約100メートルの位置にある大正時代に建てられたレトロな建物。

倉敷薄荷陳列所で扱っている商品には、倉敷で栽培された薄荷から抽出した「エッセンシャル・オイル」や、今回のワークショップで作成するアロマミスト「エアフレッシュナー」があります。

倉敷薄荷のアロマミストを作ってみよう!

倉敷で育てられた薄荷から抽出した精油を使ったアロマミスト作りに挑戦します。

▼ワークショップに使う材料です。

左から、精油0.75ミリリットル、無水エタノール10ミリリットル、精製水20ミリリットル、スプレーノズル付きの遮光ビンです。

材料はすべて、岩崎さんが事前に準備してくれました。

精油は、ごくわずかな量に見えますが、蓋を開けて鼻を近づけると、薄荷特有のスースーとした香りがします。

▼まずは、精製水を遮光ビンに。

遮光ビンの口が狭いため、液体を注ぐことが難しく、割り箸に精製水をしたたらせながら遮光ビンの中へ注ぎました

精製水が入ったビンの倒す角度で、流れ出る量を調整。

傾けすぎるとあふれてしまうため、絶妙な角度で注ぐ必要がありました。

精製水を入れたあとに、無水エタノールも同様の方法で注ぎます。

その後、遮光ビンの蓋を閉め、ビンを振って精製水と無水エタノールを混ぜ合わせました。

▼次に精油を遮光ビンに入れます。

精油が入っている小ビンの口がかなり小さいため、精油がなかなか出てきません。

そこで、スプレーノズルの管で小ビンの口を突付くことで、精油をしたたらせました。

▼スプレーノズルの管を使って精油をしたたらせるようすです。

精油を入れたあとは、遮光ビンをよく振って混ぜ合わせます。

▼精油を混ぜ合わせたあとのようすです。

なんと、筆者が作成したアロマミストは、白くにごってしまいました。

精製水と無水エタノールがしっかりと混ざっていない状態で精油を入れると、白くにごってしまうそうです。

▼他の参加者が作成したアロマミストのようす。

精製水と無水エタノールをしっかりと混ぜて、精油をいれた場合は、透明になります。

ちなみに、透明でも白くにごっていても、香りに違いはないそうです。

アロマミストはよく振ってから使用するようにと教えてもらいました。

▼最後にシールを貼って完成。

手作りのアロマミストが完成しました。

今回は、高梁川志塾の講義として、アロマミスト作りのワークショップを行ないましたが、倉敷薄荷陳列所でもアロマミスト作りを体験できます

小学生以下2,100円(税込)、中学生以上2,600円(税込)で、ウェブサイトから申し込み可能。

薄荷だけでなく、他の精油とのブレンドも楽しめるそうです。

薄荷の蒸留の見学

講義のあとに、蒸留するところを見学させてもらえるということで、倉敷薄荷陳列所に足を運びました。

店内には、化学実験に使うようなガラス器具が並んでいます。

▼蒸留するための装置です。

二層に分けられた円筒状のガラス容器の上部に、乾燥させ細かくした薄荷を入れて、下部には水を入れます。

上部と下部の仕切りは網状。

ヒーターによって加熱された水蒸気が上部に吹き込まれます。

▼加熱中のようす。

黒くなっているのは、薄荷から抽出された成分だそうです。

水蒸気によって加熱された薄荷から成分が気体になります

上部につながっているガラス管を経由して、螺旋(らせん)状になっているガラス管に移動。

気体となっていた水と薄荷の成分が、螺旋状のガラス管で冷却されて液体に変化します。

▼冷やされて液体となった水溶液と精油のようすです。

▼薄荷の成分が溶けた水溶液と精油が分離されているようす。

上部の液体が精油です。

蒸留装置に、大量に薄荷が詰め込まれていましたが、抽出できる精油がごくわずかだということに驚かされました。

ちなみに、1キログラムの薄荷から、20ミリリットルの精油が採れるそうです。

アロマミスト作りのワークショップを終えて

筆者の主観ですが、「アロマミスト」という名前に可愛らしい印象を持っていたので、簡単なワークショップが行なわれるのだろうと想定していました。

実際に受けてみると、想定していた内容とはまったく異なり、まるで理科の実験

講師の話を注意深く聞いていなかったために、白くにごった液体を作ってしまった失敗も、学校の授業を思い出して懐かしい気分になりました。

蒸留という操作を見るのも、中学校の理科の授業で水とエタノールを分離する実験をしたとき以来。

複雑に構築された蒸留装置の部品が持つ役割について理解していく過程は、探究心がくすぐられる楽しい時間だったと感じています。

アロマミスト作りに挑戦した日は、夏の暑さを実感する真夏日だったこともあり、夏休みの自由研究に取り組んだ気持ちになるワークショップとなりました。

© 一般社団法人はれとこ