瀬波温泉旅館業の(株)浅野家(新潟県村上市)が特別清算開始決定、団体客利用減などが響く

株式会社東京商工リサーチ新潟支店によると、株式会社浅野家(新潟県村上市、登記上・東京都大田区、資本金3,500万円)は6日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。代表清算人は浅野謙一氏で、負債総額は約12億円。

同社は1964年8月に「旅館汐美荘」として個人経営にて創業し、1971年12月に株式会社ホテル汐美荘として法人化した事業体。「夕映えの宿」をキャッチフレーズとし、瀬波温泉の旅館施設ではトップクラスの収容人員数を誇り、ピーク時の1997年3月期には20億8,156万円の売上高を計上していた。その後は個人消費の低迷や他施設との競合激化、さらに社員旅行などの団体顧客の利用減などによって、2019年3月期には11億5,875万円にまで後退し、これまでの投資負担も収益環境を圧迫するなか、赤字決算が頻発し、財務面は脆弱化していた。&

こうしたなか、2020年1月に大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社に事業を譲渡し、「大江戸温泉物語汐美荘」として再出発を果たしていた。その後は特別清算の準備を進めるべく、2021年3月に株式会社浅野家に商号変更するとともに、東京都大田区仲六郷3―7-8に本社所在地を移転。同年3月31日、株主総会の決議により解散し、債務整理を進めるなか、今回の措置となった。

なお、特別清算手続は破産手続きとほぼ同様だが、特別清算手続は清算中の株式会社しか適用の対象とされておらず、「清算の遂行に著しい支障を来すべき事情がある場合」または「債務超過の疑いがある場合」が手続開始の原因とされている。

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