三浦監督に姿重なる“虎キラー” DeNA2年目左腕、成長の陰に新人王の存在

DeNA・坂本裕哉【写真:荒川祐史】

2年目左腕の坂本が6回4安打2失点で今季4勝目、指揮官も評価

■DeNA 5ー4 阪神(20日・東京ドーム)

DeNAの2年目左腕・坂本裕哉投手が19日、東京ドームで行われた阪神戦に先発し、6回4安打2失点に抑えて今季4勝目(2敗)を挙げた。成長の陰には、同じ左腕で立命大の2年先輩でもある同僚、東克樹投手の存在があった。

打順が一回り目の1回から3回までは、完璧な立ち上がり。ドラフト1位ルーキー佐藤輝に対し、インハイの145キロ速球を振らせて三振に仕留める場面もあった。4回無死一、二塁のピンチも、サンズをチェンジアップで注文通りの三ゴロ併殺打に。無失点で切り抜けた。

2点リードで迎えた5回、佐藤輝に右前打されたのをきっかけに、ロハスの適時二塁打と自らの暴投で同点に。打線に再び勝ち越してもらった6回には、先頭の近本に二塁打を浴びるも、後続の3人をピシャリ。最後の大山には、4球連続で得意のチェンジアップを投じ、遊ゴロに仕留めた。

今季4勝のうち3勝が阪神戦で、対戦防御率1.89と得意にしている。三浦大輔監督も現役時代は、通算172勝(184敗)のうち46勝(32敗)と阪神にめっぽう強かった。指揮官は「僕は“初代”でも何でもない」と苦笑しつつ、「両コーナーを強いストレートで突けていた。きょうのような投球をしてくれれば、阪神戦以外でも自ずと結果はついてくる」と評した。ストレートに球威があったからこそ、チェンジアップもなおさら効果的だった。

東京五輪による中断期間中に上向き「ストレートがホームベース付近で強く」

坂本は前半戦最後の先発となった7月13日の阪神戦で、プロ入り後最長の7回を投げ1失点に抑えた後、東京五輪開催に伴うペナントレース中断期間中も状態を上げた。投球フォームの改善がハマり、イースタン・リーグ2試合の登板でも好投。「ストレートがホームベース付近でも強くなった。変化球もカウントを取りたい所で取れ、空振りを取りたい所で取れるようになった」と、これまでにない手応えを感じている。

格好の刺激となったのが、大学時代から尊敬の対象だった東の復帰だ。プロ1年目に新人王を獲得している東は、昨年2月に左肘のトミー・ジョン手術(内副側副靭帯再建手術)を受けた。リハビリの末、ここに来て2軍で実戦復帰。1軍合流に向け、着実にステップを踏んでいる。

中断期間中のイースタン戦で、先発の東を坂本がリリーフした試合も。坂本は「順調に回復されていて、すごくレベルの高い投手だと改めて思いました」と語り、「僕がチェンジアップで空振りを取った時、『あれ、いいな』と言ってもらえて凄くうれしかった」と笑った。

「イニングを全然投げられていないので、先発投手として役割を果たせていると言えない。より長いイニング投げたい」と自分の課題と向き合う坂本。もうワンランクアップして先発ローテの柱に成長できれば、間もなく1軍に戻ってくる東、エース今永、今季開幕投手の浜口らと合わせてDeNAに左腕王国ができ上がる。“虎キラー”で満足はしていられない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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