コロナ禍での政権対応をどう評価する?目指すべきは成熟した民主主義?乙武洋匡が田村智子氏に聞く!

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今回は2020年8月15日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは日本共産党・田村智子議員です。コロナ禍での政権対応や感染対策と経済のバランスについて伺いました。

 

安倍前政権のコロナ対応について

田村議員は、コロナ禍における安倍前政権の対応をどう評価していたのでしょうか?

「新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正してコロナにも対応できるようにしたときは、都道府県を乗り越えて政権がガンガン色んなことをやっちゃうのではないかと恐れていた。それが逆に、あそこまで何もしない政権ってあるのだろうかと、任せておけない危機感でいっぱいでした」と話しました。

乙武氏は、「GoToトラベルについてはどう感じましたか?」と尋ねます。田村議員は、「あり得ない。東京の感染者数が最大になったときに前倒しで実施したが、人が動けば感染が拡がるのは誰が考えてもわかる。政府が旗を振って“旅行に行こう“はないでしょうと驚いた」と話しました。

乙武氏は続けて、「GoToトラベルで旅行するのは推奨しながらもお盆休みの帰省は慎重になってくださいと呼びかけていて、わかりづらいと批判が出ていた」と投げかけます。

田村議員は、「どうしたら感染拡大を防止できるのかということへの対策があまりにもなさ過ぎた。閣僚によって言うことも違っていたし統治能力がなくなっていた。感染症対策で一番あってはならないことだった」と話しました。乙武氏は、「政府は国民の声にあまりにも右往左往してしまっている印象があった。イチ有権者として大丈夫かなと不安になった」と話します。

田村議員は、「最初に出す政策のときに国民の声を聞いてそれに答えるべきだった。専門家の皆さんの知見もちゃんと聞いて政策にいかすべきだったのに、最初のところで聞いていなかった。現場が求めていることと全く違うことを思いつきでやっていて、抑えられない批判の声で軌道修正を図っていた。桜を見る会にもつながるが、国民の声を聞かなきゃいけないときに聞いていない。そのことが当たり前になった政権の成れの果てだ」と話しました。

感染対策と経済のバランスについて

乙武氏は、「今回のコロナで一番難しいなと頭を悩ませるのが感染対策と経済のバランス。国民が求める声も真っ二つにわかれている状況で、もし共産党が政権を取っていた場合どういう舵取りをしていくのがベストだと思いますか?」と尋ねます。

田村議員は、「経済を回すときには、回しながら感染も抑制していかなければならない。感染者が感染させてしまうかどうかについてはPCR検査も有効だと思うから、(PCR検査を)大規模にやるしかない」と話しました。

乙武氏は眼鏡会社の社長との会話を取り上げます。「店舗の担当者から眼鏡を消毒するタイミングを聞かれて困ったと社長が話していた。国からガイドラインをもらったほうが安心だし、休めと言われたら休むと話していたのが印象的だった」と紹介。

それを聞いた田村議員は、「現場の声は大切だ。たとえば飲食店に対しても、ガイドラインを守れば感染しないと西村大臣は言うがそれでも感染は拡がっている。飛沫をどうするかのガイドラインを示すと同時に、検査を一体となってやるしかない」と話しました。

乙武氏は、「飲食業や観光業はどう救っていけばいいですか?」と質問します。田村議員は、「本当に困っている旅館やホテル、地域の交通のところにお金が回るようなやり方を、それぞれの地域で具体化してくださいと言ってお金を渡す。それぞれの地域に裁量を持たせるやり方を、野党は一致して求めてきた」と話しました。

続いて乙武氏は、「休業要請をするなら補償がセットであるというのは、みんなが考えているところだと思う」と投げかけます。

田村議員は、「最初に感染が拡がったとき、休業要請と補償はセットであると私たちは求めた。少なくとも働いている方の収入の8割は補償しないと生活できない。ただ、収入には個人差があるから、一定の上限を設けつつ生活できる補償をする。また、固定費の補償(特に家賃)も必要だと私たちは提起していた。全国一律で休業要請するのではなく、それぞれの地域や業種に限定したやり方が現実的だと思う。政府は補償の考え方や方針を示すべきで、都道府県の財政状況に任せるというのは余りにも無責任なやり方だ」と話しました。

乙武氏が、「今後も感染拡大が続いていくことを考えると、未来の借金を増やしてでも国がしっかり補償するほうがいいですか?」と尋ねると、「それはやるべきだと思う。(コロナ渦は)未来永劫続くわけではない」と田村議員は話しました。

目指すべきは成熟した民主主義!?

乙武氏は、「今回のコロナ対応をみていると、感染を抑えることに成功しているのは権威主義的な国や、民主主義を採用していても国家に強力な権限を与えている国だ。日本には緊急事態条項もないし、敗戦の流れを汲んで国家にそこまで大きな力を与えていない。今後、国が持つべき権限は抑制的であるべきか特例的に強い力を持たせる場合があってもいいのか、どう思いますか?」と尋ねます。

田村議員は、「成熟した民主主義が一番求められていると思う。日本は強制力がなくても補償がなくても休業した。これはすごいことで、感染症を食い止めなければならないという国民の意志が示された。感染しているのにうろつき回るのはごく一部の方だと思うから、罰則や強権的なやり方は違うんじゃないかと思う。もっと情報も開示してみんなが感染症の情報を正しく理解する、もう一歩成熟した民主主義を目指したい」と話しました。

 

田村智子氏プロフィール

1965年長野県生まれ。早稲田大学卒業後、日本民主青年同盟東京都委員会勤務。日本民主青年同盟中央常任委員、日本共産党議員秘書、日本共産党東京都委員会副委員長などを経て政界へ。2010年参議院議員に初当選し、現在2期目。以後、日本共産党中央委員、同女性委員会副責任者、日本共産党副委員長、常任幹部会委員などに選出される。

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