ホンダ、渋滞低減を目的とした「旅行時間表示サービス」の提供を開始

ホンダは2021年8月19日(木)、走行データなどを活用したデータサービス事業「Hondaドライブデータサービス」の新サービスとして、ホンダ車のリアルタイム走行データを活用し、渋滞路・迂回路通過の所要時間を計算して、道路上に表示する「旅行時間表示サービス」の提供を開始した。このサービスでは、渋滞路・迂回路通過の所要時間を表示することで、ドライバーに迂回を促し、交通量を分散して渋滞を低減することを目的としており、企業や自治体向けに有償で提供する。車両の走行データを活用し、道路上に所要時間を表示するサービスの提供は、日本の自動車メーカーとして初となる。

旅行時間表示サービスの表示機

道路脇にホンダ車の走行データ・車両の挙動データなどを活用した旅行時間を表示

旅行時間表示サービスの表示機

2021年8月より開始した「旅行時間表示サービス」では、ホンダ車からリアルタイムに集まる走行データを活用。渋滞路・迂回路の通過にかかる時間を計算し、算出された渋滞路・迂回路それぞれの所要時間を、ルート分岐地点の手前に設置した表示機で案内するというもの。

旅行時間表示サービスのシステム概要図

これにより所要時間の情報をドライバーに知らせ、迂回路の選択を促し、交通量が複数のルートに分散され、渋滞を低減する効果が期待できるとしている。

特に、目的地まで複数ルートが存在し、そのルートの一方が渋滞、一方は空いているなど交通量に偏りがある場合に高い効果が得られるとしている。

旅行時間表示サービスの渋滞低減効果例(栃木県日光市での実証実験結果)

日光市の実証実験での渋滞路と迂回路、所要時間表示機設置場所

毎年、紅葉シーズンになると激しい渋滞が発生する栃木県日光市で、国道119号線の渋滞緩和を目的として、旅行時間表示サービスを用いた実証実験を実施。

実証実験の結果、激しい渋滞が発生する春日町交差点から日光山内入り口までの最長所要時間が、2019年の171分に対し、2020年の対策実施時には同等の交通量ながら85分と半減した。

日光市の実証実験での渋滞路と迂回路、所要時間表示機設置場所

さらに、渋滞ルートの所要時間表示が長くなるほど迂回が促されて渋滞が低減し、シーズン中の最大渋滞長は2019年の約3.7kmに対し、2020年の対策実施時には約2.3kmまで短縮。また、渋滞が解消する時刻も、平均で2時間以上早まった。

旅行時間表示サービス

Hondaドライブデータサービスは、約370万台のホンダ車から集まる走行データ・車両の挙動データなどを活用し、渋滞対策、都市計画、防災、交通事故防止などの社会課題解決を目指すデータサービス事業。これまでは企業や自治体の要望を受け、個別に最適なデータ等を提供してきた。今回の「旅行時間表示サービス」は、パッケージ型サービスとしてより多くの企業・自治体への導入を目指しており、すでにいくつかの企業・自治体からは導入の要望が入っているという。ホンダでは2021年秋の本格活用開始に向けて準備を進めている。

我々はこれまでも意識せず、ホンダから提供されていた様々な情報を活用していた。また通信機能を備えるホンダ車のオーナーなら、自身の愛車データがこうして有効に活用されていることが改めてわかることだろう。

快適なドライブに役立つ走行データの有効活用については、今後のさらなる展開にも期待したいところだ。

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