トレードに“超”積極的な日本ハム 過去にも吉川、糸井、マイケルらが他球団へ

日本ハムから巨人にトレード移籍した中田翔【写真:石川加奈子】

中心選手であっても放出をいとわない球団方針

日本ハムは20日、今月同僚への暴力行為が発覚し、出場停止処分を受けていた中田翔内野手を巨人にトレードすると発表した。日本ハムはトレードに積極的な球団で、過去にも主力級の移籍を仕掛け野球ファンをアッと言わせてきた歴史がある。過去の主なトレードを振り返ってみよう。

2018年オフには高梨裕稔投手、太田賢吾内野手とヤクルトの秋吉亮投手、谷内亮太内野手を交換した。高梨は2016年に10勝2敗でパ・リーグ新人王に輝いた右腕。その後の2年間7勝、5勝と停滞すると、リリーフで活躍していた秋吉を中心とした交換に踏み切った。秋吉は2019年に25セーブを挙げクローザーを務めた。

ちょっと変わった形としては、シーズン中の2017年7月に谷元圭介投手を中日へ金銭トレードした。球宴出場を果たした選手が、そのシーズン中に他球団へトレードされるのは史上初めてだった。

2016年オフには吉川光夫投手と石川慎吾外野手を巨人へ送り、大田泰示外野手、公文克彦投手を獲得。吉川は2012年に14勝、リーグ1位の防御率1.71でパ・リーグMVPにも輝いたがその後低迷。巨人にドラフト1位で入団しながら、定位置を奪いきれなかった大田を中心とした交換をまとめた。大田は日本ハムでは外野の一角を占め、4年連続2桁本塁打の主力に成長した。

衝撃が大きかったのが2013年のキャンプイン直前、糸井嘉男外野手、八木智哉投手とオリックスの大引啓次内野手、木佐貫洋投手、赤田将吾外野手を交換した2対3の大型トレードだ。日本ハムに投手で入団したものの外野手へ転向し、4年連続打率3割という中心選手へ成長していた糸井はこのオフ、将来的な大リーグ移籍を直訴、直後の放出劇だった。大引の獲得は、田中賢介の米挑戦で穴の空いた内野に核を作るのが狙いだったが、2年後ヤクルトにFA移籍。糸井はオリックスで首位打者1回、盗塁王1回と活躍し、2017年からFAで阪神へ。

過去には首脳陣批判が引き金となった放出劇も…

2009年オフにはマイケル中村投手、工藤隆人外野手を巨人へ送り、二岡智宏内野手、林昌範投手を獲得した。マイケルは2006年に当時のパ・リーグ記録となる39セーブを挙げ日本一に貢献。その後も34、28セーブを挙げ不動のクローザーとして活躍していた。巨人から獲得した二岡は、故障と坂本の台頭で遊撃の定位置を失っており、トレードが成立した。

また、不祥事が引き金となっているという意味では今回と似ているのが2007年オフ、エース・金村暁投手と阪神・中村泰広投手の交換トレードだ。金村はシーズン終盤のロッテ戦、白星の権利を目前に降板させられた試合で首脳陣批判。球団による出場停止処分を経て日本シリーズでは登板したものの、オフに放出された。2人の年俸の違いから「格差トレード」と呼ばれ話題になった。

トレードに積極的なのは、東京を本拠地としていた時代からの流れだ。1974年オフに日拓ホームを買収し球界参入した日本ハムは“暴れん坊”と言われたチームカラーからの脱却を図った。大下剛史内野手を広島へ、大杉勝男内野手をヤクルトへトレードし、翌オフには張本勲外野手を巨人・高橋一三投手らと交換した。チームの基盤ができ、Aクラスに顔を出すようになってからも強化には貪欲で、1980年オフには広島・江夏豊投手を獲得するためにエース・高橋直樹投手を放出。江夏は1981年のパ・リーグ優勝に貢献した。

栗山監督が就任した2012年以降、4番を張り続け打点王3回という実績を残した中田の移籍は、日本ハムと巨人にどのような影響をもたらすのか。注目が集まる。(Full-Count編集部)

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