WECとル・マンが100%再生可能燃料を採用へ。トタル・エナジーズが2022年から供給

 ル・マン24時間レースの舞台となるフランス、サルト・サーキットで8月20日、ACOフランス西部自動車クラブの年次記者会見が行われ、2022年の第90回ル・マンを含むWEC世界耐久選手権とELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズにおいて、100%再生可能燃料を導入することが発表された。

 来シーズンから供給されることになる新しい燃料は、フランスの大手エネルギー企業、トタル・エナジーズが開発したモータースポーツ競技用の100%再生可能燃料で、従来の燃料と比較してレーシングカーの二酸化炭素排出量を65%以上削減することができるもの。

 これは、フランスを代表する産業のひとつであるワイン造りで発生する残留ワインを原料としたバイオエタノールと、リヨン郊外にあるトタル・エナジーズのファイザン製油所で循環型経済に基づいて生産されるETBE(エチル‐ターシャリー‐ブチル‐エーテル)から製造される。

『Excellium Racing 100(エクセリウム・レーシング100)』と名付けられたこの燃料は、耐久レースとモータースポーツのエネルギー移行において、それに関係する全員にとって新しい章を開くものとなる。この次世代燃料はレーシングカーに使用される燃料として必要なすべての品質を備えており、同時に自動車メーカーの要求と持続可能な燃料に関する最新のFIA基準を満たしている。

「我々の野望は、エネルギー転換の主要なプレーヤーとなり、社会とともに2050年までに二酸化炭素の排出量をゼロにすることだ」と語るのは、トタル・エナジーズのパトリック・プイヤネ会長兼CEO。

「トタル・エナジーズは、その戦略をモータースポーツに適用することで、顧客とパートナーの進化をサポートしていく」

 ACOのピエール・フィヨン会長は、「過去数年間で社会や環境問題に対する意識が高まったことで、モータースポーツの世界でもこれらの問題に深く注目するようになった」とコメント。

「ル・マン24時間レースは1923年に行われた最初のレース以来、革新のための実験場となっており、今回のエキサイティングな新しい開発は創業の原則と完全に一致している」

「持続可能な発展のため、私たちはつねに挑戦し続け、持続可能なモビリティに貢献するという約束を果たす」

 また、WECとELMSのフレデリック・ルキアンCEOは、「耐久レースはすべての道路関連プロダクトの究極のテストであり、トタル・エナジーズがこの最先端の新製品を発表するために、我々のチャンピオンシップとル・マンを選んだことをうれしく思うと」述べている。

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