横浜市長選挙で若者の投票参加を促したい!VOTE FOR YOKOHAMAインタビュー(NO YOUTH NO JAPAN)

こんにちは!NO YOUTH NO JAPANです。私たちは若い世代から参加型デモクラシーを根付かせるため、政治や社会について分かりやすく発信している団体です。(Instagram:NO YOUTH NO JAPAN (@noyouth_nojapan) • Instagram photos and videos

8月22日は横浜市長選挙!

8月8日に告示された横浜市長選挙は22日に投開票日を迎えます。今回の横浜市長選挙は2009年8月に初当選してから現在に至るまで、市長を3期12年続けている現職の林文子市長が8月29日に任期満了を迎えることから実施されます。

今回の横浜市長選挙は、元横浜市議会議員の太田正孝氏、元長野県知事の田中康夫氏、元国家公安委員長の小此木八郎氏、水産仲卸会社社長の坪倉良和氏、元内閣府副大臣の福田峰之氏、元横浜市立大学教授の山中竹春氏、現横浜市長の林文子氏、元神奈川県知事の松沢成文氏(以上、届出順)の8名が立候補しています。

横浜市は国内で最大の基礎自治体(市区町村)であり、その人口(約378万人)は静岡県や茨城県を始めとする全国38府県を上回ります。また、政令指定都市である横浜市は基礎自治体でありながら、広域自治体(都道府県)が有する権限の多くを委譲されています。そのため、横浜市長選挙が持つ影響力は人口や地方自治といった観点から非常に大きいと言えます。

私たちNO YOUTH NO JAPANは、この横浜市長選挙における若者の投票参加を促進するため、現地でSNSを活用した投票啓発に取り組む若者団体「VOTE FOR YOKOHAMA」と連携しながら市長選挙の存在や争点のプロモーション活動を実施しました。

今回は、横浜市長選挙に焦点をあてて啓発活動に取り組むVOTE FOR YOKOHAMAのメンバーにインタビューをしました。発信を始めようと思ったきっかけや、横浜の若者の投票率が低いことについて、語ってくれました。

「政治や未来に希望を持つことのできる横浜市を」VOTE FOR YOKOHAMAにインタビュー!

2019年4月7日に行われた神奈川県知事選挙では、横浜市の10、20代の有権者の投票率は26.79%と他の年代に比べて低い結果となりました。また、投票率自体も、同年の横浜市議会議員選挙では42.48%で、日本における市町村議会議員選挙の投票率はこの50年下降の一途を辿っています。そんな現状を変えようと立ち上がったのが、「VOTE FOR YOKOHAMA」(以下、VFY)です。VFYは10代から20代までの7人のメンバーで活動しています。今回はVFYの大石久美子さんにインタビューをし、活動にかける思いをお聞きしました。

VOTE FOR YOKOHAMAでは候補者に向けてアンケートを実施し、「気候変動対策」「緑地保全政策」「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により加速した若い世代の課題への取り組み」「カジノを含むIR(統合型リゾート)」および「出産・子育て負担軽減や少子化対策」に選択式で回答と、自由記述での「若者へのメッセージ」を求めました。

詳細: Instagram「VOTE FOR YOKOHAMA」 @votefor_yokohama

(VOTE FOR YOKOHAMA Instagram(2021年8月4日)より)

NO YOUTH NO JAPAN 三宅(以下三宅):VFYでの主な活動内容を教えてください。

VOTE FOR YOKOHAMA大石(以下大石):若者世代の投票率を上げるために、横浜市長選挙の情報発信をSNSのInstagramで行っています。

三宅:この活動を行おうと思ったきっかけはなんですか?

大石:横浜市は、前回の横浜市長選挙も含め若者世代(10、20代)の投票率が低いです。私たちはこの状況を、「投票権を持ちながら、政治への積極参加が実現できていない」と感じています。なぜ若い世代が投票に行かないのか、メンバーで理由を話し合ったところ、そもそも仕組みがわからないとか、一人一人の一票に意味がないと感じている、横浜市の未来に希望を持てない、応援したいリーダーがいないとか…そのような理由が挙げられると考えました。そこで私たちは、若者の声が政治に届き、政治や未来に希望を持つことのできる横浜市を実現したいと思い、活動を始めました。

(VOTE FOR YOKOHAMA Instagram(2021年8月9日)より)

三宅:VFYはInstagramでの発信を中心に活動されているということですが、投稿する際に心掛けていることやルールはありますか?

大石:一番大切にしていることは、公平性を保ちながら伝えることや、目的において一貫性のある趣旨を投稿することです。候補者の伝えたいことに対し可能な限りそのまま伝え、公平性を保ちつつ、「あらゆる世代が幸せに生きるための政策を求める」というわたしたちのメッセージが伝わるような一貫性のある内容にすることを心掛けています。

もう一つは、フォロワーとの「目線をそろえる」ことです。今回の私たちの目標は投票率をあげることなので、投稿を見てくれた人が「何を言っているかわからない」という状態にはならないように工夫しています。例えば、投稿のイラストの中には辞書を差し込むような感じで補足説明を入れています。投票率が低い理由に、そもそも選挙についてわからない、言葉が難しいという原因があると感じているので、実際に投稿を作成するとき、そのような用語の説明には配慮をしています。投稿を作成するにあたり、気をつけるところがたくさんあることに加え、投票率の低い若者にどうすれば投稿が響くのかということを考えるのは特に大変でした。

三宅:そんな若者ですが、世間では「若者は政治に関心がない」とも言われているようです。そのことについて、どう感じていますか?

大石:そう言われてしまうことはすごく悲しいですが、多くの若者にとって、それは現実のことだと思っています。今は、若者が投票に行くための土台、つまり、選挙への情報の収集・理解に対する、社会からのサポートが弱いと感じています。

それもあって、相談できる人が周りにいなかったり、「投票に行ったところで何が変わるのだろうか」と思ってしまうのだと思います。そう思って投票に行かないと、政策に若者の声が反映されず、また投票に行きたくなくなる、という悪循環が生まれてしまいます。

でもそれは社会や先輩のせいにしていいことではなくて、一人ひとりがジブンゴトとして考えなければいけないことだと思います。

三宅:社会も変わらないといけないけれど、若者自身もきちんと選挙について考えないといけないですね。

大石:そうですね。若者の声がもっと社会に響いて、この望ましくない状況が変わってほしいです。

家族や学校や職場で政治や選挙の会話が今以上に生まれて、どの世代にとっても幸せな社会や未来が実現する…。そんなことが、日本を代表する都市である横浜市であってほしいと考えています。私たちの活動のきっかけとして「気候変動」も軸としてあります。私たちにとって気候変動は長期的で世界的で深刻な問題です。ですが、゙今まで全く争点になってきませんでした。「政治が変わると社会は代わる」そのためにも今リーダーに声を届けることが必要です。

三宅:最後に、この活動を通して若い世代の横浜市民に伝えたいことを教えてください。

大石:多くの若い世代のみなさんの中にも10年後、20年後も、横浜で暮らしていきたいと思えるために、期待する政策や実現したい未来があるはずだと思います。それらを実現させるためにも、ぜひ投票に行ってください!と伝えたいです。自分の一票に、思いを託して投票してほしいです。

(VOTE FOR YOKOHAMA Instagram(2021年7月12日)より)

インタビュー後記

VOTE FOR YOKOHAMAの皆さんは、大好きな横浜がずっと魅力的な街であってほしいから、今も活動を続けています。

大石さんのお話からは、投票は、その行為自体が目的なのではなく、若者にとって生きたい社会を実現したい手段だということがよくわかりました。日常の不満やモヤモヤの存在に気付いた人が、「社会がもっとこうなったらいいのに」という想いをぶつける場所が、選挙なのだと思いました。 私たちNO YOUTH NO JAPANでは、「VOTE FOR MY TOWN」という名前で、これまで7つの地方選挙で投票率を上げる取り組みを展開してきました。私たちやVOTE FOR YOKOHAMAのような活動が広がり、若者の中で少しでも「自分の生きたい社会」について考え、投票に行こうと思える人が増えることを願い、これからも活動を続けていきます。

出典:
横浜市:市・区の年齢別の人口(推計人口による、1月1日現在)
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/yokohamashi/tokei-chosa/portal/jinko/nenrei/suikei.html横浜市:統一地方選挙結果表(平成31年4月7日執行)(※PDF)
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/senkyo/data/20190407_touitu.files/result.pdf横浜市:第18回投票参加状況調査(平成31年4月7日執行 統一地方選挙)、資料編(※PDF)
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/senkyo/data/survey/survey18.files/18-4.pdf

(インタビュー・文=三宅瑞紀、堀口英利)

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