「40、50代に重症化リスク」 栃木県内2病院、病床逼迫に拍車

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(米国立アレルギー感染症研究所提供)

 新型コロナウイルス感染急拡大に伴い、県内医療機関は病床逼迫(ひっぱく)の度合いが増している。中等症以下の患者に対応する国立病院機構栃木医療センター(宇都宮市)と日光市民病院の関係者が20日、慢性的な負担増に拍車が掛かる厳しい実情を明かした。

 栃木医療センターの内科医長矢吹拓(やぶきたく)医師(42)は「重症化する患者が毎日のように出てきている」と話した。

 現在は、中等症の患者に加え、重症者の入院も増えた。重症患者用の病院が満床で転院できないことがあるため、同センターで人工呼吸器を装着して転院を待つという事態が生じている。「非常に切羽詰まっている状況だ」

 医療者側の負担も増す。「通常診療が犠牲になってしまう」と苦しい実情を吐露した。感染者の急増で、必要な薬剤の不足も懸念する。「今後は供給に影響が出るかもしれない。その時に備え、何が代替できるか検討している」と明かした。

 日光市民病院の病院管理者、杉田義博(すぎたよしひろ)医師(56)は「40、50代の患者の重症化リスクが高くなっている。現場の緊張感、負担感は極めて厳しい」と言い切った。

 自宅療養者の急増に伴い、初期に適切な治療がされず、日数がたって悪化した状態で搬送される40、50代が増えている。「すぐに気管挿管するなど、重症化直前のような状態の患者が相次いでいる」と訴えた。

 地域医療を守る体制を維持しながら、コロナの治療に力を尽くす現場に余裕はない。コロナ患者の受け入れ医療機関がこれ以上病床を増やすのは無理と感じている。「受け入れる病院数の拡充、開業医との連携強化も不可欠」。

 県は酸素投与が必要な患者向けの酸素ステーションを設置する方針を示した。「酸素投与に加え、初期の治療もすることが重要。今は使える薬も増えたので、その医療従事者を確保することが感染者の大きな助けになる」と期待した。

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