【新型コロナ】英政府が報告書「サッカー欧州選手権決勝が約5700人の感染に関与」

 イギリス政府が、4ヵ月にわたって大小様々なイベントを観察し、新型コロナの感染における影響を研究したレポートが20日、公表された。行動制限がかかっていた時点での多くのイベントは問題がなかったとしたものの、テストの一環として満員で開催したサッカー欧州選手権決勝では、数千人もの多くの感染に影響を与えたと評価し、大規模イベントでの注意を呼びかけている。

保健大臣「ワクチン接種と定期的な検査を」

 報告書はイギリス政府がパンデミック後のイベント開催のモデルを探るため行なっていたもので、国内で開催された37のイベントにおける参加者と、開催地域での感染者の動向を追跡調査したもの。

 報告書では、調査したイベントのほとんどでは、開催地以外での感染率を上回ることはなかったとして問題なかったとした。ただしこの4ヵ月間には、全土で外出制限がかけられていた時期が重なっており、完全な平時との比較ではない部分もある。

 調査期間の最後にあたり、テストとして収容制限を撤廃し満員で行われたサッカー欧州選手権決勝(2021年7月11日開催、ウェンブリースタジアムで9万人収容)では、スタジアム内またはその周辺の2,295人がイベントの時点で感染していた可能性があり、スタジアム内およびその周辺でさらに3,404人が感染した例に影響した可能性があると明らかにした。つまりその時点で感染していたと思われる観客と、していなかった観客が密に集まったことでさらに数千人の感染を引き起こした可能性があるということだ。

 また報告書では、決勝のあと、全国で感染例が急増したこともあげている。症例データではバー、パブ、友人宅を訪問したり、試合日に外食するなど、自分が感染していると気づかずにさまざまな行動を行ってしまった人たちが多く存在したことを示しているという。

 調査研究を管轄した英国公衆衛生サービス(NHS)庁のジェニファー・スミス博士は「これは特異なイベントだったが、データは密接している時にウイルスがどれほど簡単に広がるかを示している」と述べ、できるだけ早くワクチンを接種すること、公共の場ではマスクすること、知り合いと会うときもできるだけ屋外で会うこと、症状がある場合はイベントに参加せず検査を受けることを求めた。

 この報告を受け、ベテル保健大臣は「これらのイベントとサポーターの情熱は全国の何百万もの人々に喜びをもたらしたが、しかし、警戒を怠らないようにする必要性も明らかにした。誰もが安全に楽しむことができるように、私たちは皆、定期的に検査を受け、ワクチンを接種する必要がある」と述べている。

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