日没後の雨でクラッシュ続出。トヨタがワン・ツー形成/ル・マン24時間決勝6時間後

 8月19日16時(日本時間23時)にスタートしたWEC世界耐久選手権第4戦/第89回ル・マン24時間レースは、決勝スタートから6時間が経過。レースの4分の1を終えた時点では、TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス)が総合首位、チームメイトの8号車トヨタGR010ハイブリッドが2番手につけている。

“世界三大レース”のひとつであり、WECのシーズンハイライトにも位置づけられるル・マン24時間。その2021年大会は、スタート前に降り出した雨の影響でセーフティカーの先導によるレース開始となり3周目に実質的なスタートが切られた。

 ハイパーポールでフロントロウを独占したトヨタ勢は対照的な出だしとなり、ポールシッターの7号車が首位を守ってレースを先導する一方、8号車は“オープニングラップ”のダンロップ・シケインで、ライバルの708号車グリッケンハウス007 LMH(グリッケンハウス・レーシング)に追突されてスピン。さらに、アルナージュでコースオフを喫するなどしてポジションを落としてしまう。

 しかしスタート時に降っていた雨が止み、各車がタイヤをスリックに替えていく展開になると徐々にポジションを回復させ、レース開始1時間後には総合3番手に。その後まもなく2番手に復帰し、7号車とのワン・ツーを形成する。また、この後方ではスタート20分後にスピンを喫し順位を落としていた36号車アルピーヌA480・ギブソン(アルピーヌ・エルフ・マットミュート)も総合3番手に復帰した。

 コンウェイのドライブで、スタートから首位を走る7号車は3度目のピットタイミングで左リヤ、通常よりも早いタイミングで入った4度目のピットで今度は右リヤタイヤを交換する。いずれもスローパンクチャーが原因だと思われる。

 これにより7号車トヨタは他車とピットタイミングがずれることになり、2時間過ぎに一度8号車に首位を譲ることになったが、直後にLMP2カーとの接触があった8号車がルーティンのピットに入った後はふたたびトップに復帰。その後、可夢偉が3スティントを担当するなかで首位をキープし続けた。

 一時は1分以上の差がついた7号車と8号車のギャップは、スタートから3時間を迎える直前には10秒程度に縮まる。

 3時間15分過ぎ、インディアナポリスで98号車アストンマーティン・バンテージAMR(アストンマーティン・レーシング)がハイスピードでクラッシュする。幸いドライバーのマルコス・ゴメスは無事だったが、バリア修復のためセーフティカーが導入される。

 レース再開後の4時間経過時点で可夢偉の7号車と、セバスチャン・ブエミからブレンドン・ハートレーに代わった8号車の差は8.5秒に。総合3番手につけるアルピーヌとのギャップは1分49秒だ。4時間45分後、ハートレーがイレギュラーのタイミングでピットに入る。中継の情報では、8号車は右リヤタイヤを交換したとのこと。

TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド

■日没後の雨でクラッシュ続出

 レースが始まって5時間を過ぎサーキットが暗闇に包まれるなか、トラックにふたたび強めの雨が落ち始める。雨は瞬く間に路面を濡らし、この影響で同時多発的にアクシデントが発生する。

 ポルシェカーブ手前では、他車と接触して止まった1号車オレカ07・ギブソン(リシャール・ミル・レーシング)に74号車リジェJS P217・ギブソン(レーシングチーム・インディア・ユーラシア)が突っ込むかたちでクラッシュした。また、ダンロップ・シケインでは雨によって止まりきれずグラベルを突っ切ってきた32号車オレカ07が、シケインを通過しようとした23号車オレカ07に激突。ユナイテッド・オートスポーツの2台がともにダメージを負うこととなってしまった。これらのアクシデントを受け、レースは2度目のセーフティカーが導入されている。

 スタートから5時間38分、クラッシュの処理が終わりレースが再開される。この頃には雨が弱まっていたが、それからまもなくしてふたたび雨脚が強まった。
 
 そんななかルーティンのピットタイミングを迎えたハイパーカークラスの各車は、インターミディエイトタイヤに交換してコースに出ていく。6時間を迎える直前には短時間のフルコースイエローも入ったレースだが、上位陣の順位は変わらず。首位は可夢偉からロペスに交代した7号車トヨタ、総合2番手がハートレーの8号車トヨタだ。両者の差は1分24秒。総合3番手に1ラップダウンとなった36号車アルピーヌがつけ、さらに1周遅れて708号車グリッケンハウスが4番手が続いている。僚友709号車は3ラップダウンの総合11番手だ。
 
 LMP2クラスではJOTAの38号車オレカ07がスタートから首位を守っていたが、アンソニー・デビッドソンが乗車中の2時間40分過ぎに、スピン車両を避けて1コーナーでコースを外れたところ、アウト側のグラベルにスタックしてしまい順位を落とす。

 その後はJOTAのもう1台である28号車オレカ07やGドライブ・レーシング26号車アウルス01などがトップを争い、6時間経過時点ではチームWRTの41号車オレカ01(ロバート・クビサ/ルイス・デレトラズ/イーフェイ・イェ組)がクラストップに立っている。

 LMGTEプロクラスは序盤にワン・ツーを形成したAFコルセがレースをリードし続け、現在は51号車フェラーリ488 GTE Evo(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/コム・レドガー組)が僚友52号車フェラーリを16秒ほどリード中だ。クラス3番手の63号車シボレー・コルベットC8.Rはトップから18秒差。
 
 LMGTEアマはTFスポーツ33号車アストンマーティン・バンテージAMRがクラス首位に浮上しており、これにAFコルセの83号車フェラーリ488 GTE Evoが続く。3番手は木村武史も乗り込むケッセル・レーシング57号車フェラーリ488 GTE Evoだ。

 星野敏/藤井誠暢/アンドリュー・ワトソン組777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)は、クラス首位から2周遅れのクラス13番手を走行中。特別枠から参戦する青木拓磨組84号車オレカ07(アソシエーションSRT41)は、青木のスティントでスピンが見られたが総合55番手で走行を続けている。

インディアナポリスでクラッシュした98号車アストンマーティン・バンテージAMR
ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo
AFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evo

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