【新旧ゴルフ比較】先代ゴルフオーナーが激白! 新型ゴルフは走行性能や先進装備でリードも先代モデルと互角の戦いだった

ドイツ本国から遅れること約1年半、晴れて日本で正式発売されたフォルクスワーゲン 新型ゴルフ。デジタル化や電動化、そしてより強固となった先進安全装備など、時代に即した進化を遂げたのが最大の特徴である。今回は先代ゴルフ(通称ゴルフ7)を愛車に持つ筆者がオーナー目線で新旧比較を敢行! 先に挙げた先進装備などを最重視するならば新型ゴルフをオススメするが、先代モデルでも未だ魅力たっぷりのクルマという結果であったが、どんな違いがあるのか!?

フォルクスワーゲン 新旧ゴルフ

輸入車販売ランキング上位常連のゴルフがフルモデルチェンジ

輸入車の定番モデルであるフォルクスワーゲン ゴルフが、フルモデルチェンジを行い、ゴルフ8へと進化した。

日本での輸入車車名別販売では、常にトップ3の常連と根強いファンを持つだけに、ゴルフオーナーだけでなく、輸入車ファンも新型の出来が気になるだろう。そこで先代モデルにあたるゴルフ7を所有する筆者が、ゴルフオーナー目線で新型を評価してみた。

新型ゴルフの特徴はデジタル化と電動化、そして先進装備の充実

新型ゴルフは全車マイルドハイブリッド化され、電動化を推し進めている。バリエーションとしては先代モデル同様にハッチバックとステーションワゴンのヴァリアントをラインアップ

2021年6月、ついに日本でも新型ゴルフがデビューした。ドイツ本国では、2019年10月に発表されているから、だいぶ待たされたなというのが本音。ただ2020年は、誰しも予期しなかった新型コロナウイルス感染症の世界的な流行もあったため、これも致し方無かったこと。その遅れを取り戻すように、新型ゴルフヴァリアント(ステーションワゴンタイプ)の発表は迅速だった。

そんな新型ゴルフは、トピックとして「デジタル化」「電動化」「ドライバーアシスタンスシステム」の3つを大きな特徴として掲げる。デザインもよりシャープとなり、先進感を強めている。

>>

ほとんどの操作をタッチパネルで行う新型ゴルフ。操作には慣れが必要な面も

先代ゴルフはモデルサイクル途中にフル液晶メーターを採用したモデルを追加するなど、時代に即した進化を遂げていた, 対して新型ゴルフは物理ボタンを可能な限り配した設計となっており、大幅に進化させたイメージだ
先代ゴルフはモデルサイクル途中にフル液晶メーターを採用したモデルを追加するなど、時代に即した進化を遂げていた, 対して新型ゴルフは物理ボタンを可能な限り配した設計となっており、大幅に進化させたイメージだ

そもそもゴルフというクルマは、かなり保守的だ。もちろん、フォルクスワーゲンの看板車種だけに、技術的な挑戦はあるものの、操作系統などは基本に忠実。良い意味で冒険は少ない。だからこそ、誰でも扱いやすい良いクルマなのだ。

新型ゴルフはほとんどの操作をタッチパネルで行うため、運転中のブラインド操作には慣れが必要である。そういった観点で考えれば、先代モデルの方がより使いやすいのだ

ところが新型ゴルフは、その特徴のひとつに「デジタル化」を掲げているように、コクピットまわりのデジタル化を推進。とくにインフォテイメントシステムのメカスイッチを最小とし、操作のほとんどはタッチスクリーンで行うようにした。

コクピットデザインはモダンさを増したが、誰しもが瞬時に操作できる気軽さは薄れてしまった。スマホやタブレットが日常に溢れる今、メカスイッチを重視しるのは古臭いとも思われるだろうが、運転中のちょっとした操作は、やはりメカスイッチが便利だ。そのサポートとして、これまでよりもステアリングスイッチの活躍する場面は増えるだろう。ただそこも慣れが必要だ。

>>

【新旧ゴルフ内装比較】最大の違いは後席の足元スペース、先代ゴルフの方が広かった! 後席重視ならヴァリアントがオススメ

先代ゴルフ, 新型ゴルフ
先代ゴルフ, 新型ゴルフ

キャビン(内装)の違いは、後席にある。ハッチバックでは、新型ゴルフよりも先代モデルであるゴルフ7の方が後席のレッグスペースが広い。

これは新型ゴルフが、ハッチバックのショートホイールベース化を図ったことにある。逆に新型ゴルフヴァリアントは、ロングホイールベースとなり、後席レッグスペースが拡大している。

もちろん、新型ゴルフのハッチバックでも、タイトなわけではなく、必要十分なスペースは確保している。新旧ゴルフを比較しなければ、あまり気にならないだろうし、後席を活用するならば、新型ゴルフヴァリアントを選べということなのだろう。

【新旧ゴルフ走行性能比較】新型ゴルフは1リッターエンジンでも十二分な性能! スポーティな味付けが特徴

それでは走りはどうなのか。最も違いが大きいのは、先代ゴルフの1.2リッターターボ車と新型ゴルフの1リッターターボ車のスタンダード対決だ。

新型ゴルフは3気筒エンジン搭載車のネガである振動や雑音が少ないのが最大の特徴。そしてマイルドハイブリッド化により、低速域でのギクシャク感が大きく抑えられ、大幅に上質な走りとなっている

新型ゴルフでは、さらになるダウンサイズを図り、シリンダーも3気筒に。しかし、新たな武器48Vマイルドハイブリッドを手にした。

13ps/62Nmのベルト駆動式スタータージェネレーターは、発進時や加速時にエンジンをアシストしてくれるのだが、この“ちょい足し”が良い仕事をしてくれる。

先代ゴルフは1.2リッターターボエンジンを搭載していたが、上り坂などのシーンでは非力な面も。だが、日常域では必要十分な性能であった

ワインディングだと、パワフルとまでは言えないが、不満はない走りを見せてくれた。その一方、先代ゴルフの1.2リッターターボエンジンは、上り坂などの負荷が大きな場所ではちょっと非力さを感じるシーンがあるのだ。

また新型ゴルフのハッチバックは、ショートホイールベース化で走りも、キビキビした感覚が強まった。だから、運転好きならば、新型ゴルフを推すだろう。乗り心地の面では、先代ゴルフの方がフォーマル。新型ゴルフの方がスポーティさを意識した味付けの様だ。

【新旧ゴルフ先進装備比較】運転支援システムの充実度は断然新型ゴルフも、先代モデルでも十分な性能

時代が求める先進機能については、断然新型ゴルフ8。こればかりは日進月歩なので、新しいものほどよく、センシングも機能も向上している。

これがドライバーのアシスト能力も大きな差として表れる。もし先進機能を活用した安全性を重視するならば、素直に新型に乗り換えるのがベターだ。

【結論】総合評価で新型ゴルフに軍配も、使い方によっては先代モデルで十分

やはり、8年ぶりのフルモデルチェンジということもあり、新型ゴルフは多くの点で先代モデルを超えている。

総合評価ならば、新型ゴルフの圧勝だ。しかし、新しさを追求した分、鮮度が落ちるのも早いという懸念もある。ただそれは新型ゴルフが初代から受け継がれたゴルフの伝統を再定義した存在といえるほどの大改革を行ったモデルといえる現実から鑑みれば仕方ない点だ。旧来のゴルフの価値は、先代ゴルフ7ひとつの完成を見たといってもいい。だから、先代モデルを気に入っているユーザーは、急いで買い替える必要などないことを同じゴルフユーザーとしてアドバイスしたい。

【筆者:大音 安弘】

© 株式会社MOTA