2番手トヨタ8号車に問題発生。残り6時間、首位は7号車/ル・マン24時間 決勝18時間後

 フランス、ル・マンのサルト・サーキットを舞台に行われている第89回ル・マン24時間レースは現地時間8月22日(日)10時を回り、スタートから18時間が経過。フィニッシュまで残り6時間を切った段階では、TOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)が総合トップにつけている。総合2番手は同8号車トヨタGR010ハイブリッド、3番手はアルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480・ギブソンだ。

 現地未明4時に迎えたレースの折り返しを7号車が首位、8号車が2番手のワン・ツーで迎えたトヨタ勢。この時点で両者のタイムギャップは1分41秒だったが、スタートから12時間30分過ぎ、首位を走る小林可夢偉の7号車がインディアナポリスの左コーナー入口でフロントタイヤをロックさせオーバーシュート。あわやウォールにクラッシュする場面がみられた。

 7号車はすぐにコースに復帰するが、1分以上のタイムを失い僚友8号車との差は8.7秒にまで縮まる。スタートから13時間を迎える直前、可夢偉がルーティンのピットに入りこの間にブレンドン・ハートレーの8号車がトップに立つ。

 日没後にLMP2クラスでワン・ツー体制を築いたチームWRTは、レースの折り返しを過ぎても31号車オレカ07と41号車オレカ07が接近戦を展開。13時間を前にルイ・デレトラズの41号車が僚友31号車シャルル・ミレッシ号を交わしてクラス首位に。しかし、その後ふたたび31号車がトップを奪った。

 13時間過ぎ、総合2番手となった7号車トヨタが8号車の背後に迫る。7号車は直前のピットストップで可夢偉からロペスに代わっており、そのロペスがコース上でチームメイトを交わして首位を奪還した。その後8号車が200周、7号車が203周目にピットインすると、ふたたび7号車が先攻するかたちとなった。ギャップは17秒ほど。

 一方、トップ2台から4周遅れとなっている36号車アルピーヌA480・ギブソン(アルピーヌ・エルフ・マットミュート)と708号車グリッケンハウス007 LMH(グリッケンハウス・レーシング)の3番手争いは約1分差で推移し、先攻するアルピーヌがピットに入ると一時的にグリッケンハウスが3番手となる接近戦が続く。

 213周目、ハートレーがピットに入りドライバーが中嶋一貴に替わる。8号車はここでフロントカウルを交換したことで7号車との差が開き、14時間30分の段階で2台のギャップは63秒となっている。

 14時間目を迎える直前には、LMGTEプロクラス3番手のAFコルセ52号車フェラーリ488 GTE Evoがガレージに入れられ、約30分間の作業を行う。これによりクラストップの僚友51号車フェラーリから9周遅れとなり、順位をクラス6番手に落とした。

アルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480・ギブソン
TOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッド
トップを走る7号車トヨタGR010ハイブリッド

■8号車GR010ハイブリッドにトラブルが発生!

 スタートから15時間、現地時間は7時を回った頃ル・マンの夜明けを迎えた。首位は依然としてトヨタ7号車で、同車は229周目にピットインし、ロペスからコンウェイにドライバー交代を行ったが、左リヤタイヤの交換時にナットが緩まずホイールガンを交換したため若干のタイムロスがあった。この影響で2番手につける8号車とのギャップが25秒に縮まっている。

 しかし、コンウェイ駆る7号車はじわじわとチームメイトとの差を拡げ、サーキットが朝霧に包まれた16時間過ぎにはギャップを37秒とする。さらに16時間21分過ぎには一貴の8号車が通常のスティントよりも若干少ない9周でピットに戻り、ブエミに交代してコースに出ていく。この後2台のトヨタのタイム差は67秒に拡大した。

 255周目、ふたたび8号車がピットイン。前回のピットインは248周で明らかにスティントが短い。トヨタのスポークスパーソン曰く、何らかの問題が発生しているため燃料タンクがフルに使えず、フルスティントが不可能な状態にあるとのこと。直前にドライブしていた一貴はドライブ中、無線でエンジンとミッションのデータを確認するようチームに求めていた。

 レース開始から17時間8分後、やはり8号車トヨタは問題を抱えている模様で260周目にピットへ。しかし特別な作業はしている様子は見られず。ラップタイムは正常だがピット回数だけが嵩み、首位を行く僚友7号車とのタイム差は2分35秒まで広がった。後方で接近戦を繰り広げている708号車グリッケンハウスと36号車アルピーヌまでは4周のギャップがある。

 その後も8号車トヨタは4周、3周の短いスティントを続けていたが、17時間44分過ぎにミュルサンヌの先でスロー走行となり、一度コース脇に停車した。なお、ブエミは直後に走行を再開したが1分20秒ほどタイムを失っている。トヨタ広報の情報のよれば、この際ブエミは無線での指示を頼りにプログラムの設定変更を行い、問題を解決したという。事実、このスティントでは12周をラップしている。

 8号車のスロー走行直後、同じ場所で52号車フェラーリの右フロントタイヤがバースト。スロ―走行となっている。その裏では首位を行く可夢偉の7号車が前回のピットインから7周でピットに戻ったが、こちらはチームの指示によるものだという。

 スタートから18時間後、その7号車トヨタがチェッカーまで残り6時間となったタイミングでも総合首位をキープしている。総合2番手につけている8号車トヨタは、チームメイトと同じ275周をラップしているが、ギャップはこの1時間ほどで大きく広がり3分04秒となった。総合3番手は4ラップダウンの36号車アルピーヌ。同5番手は708号車グリッケンハウスで、首位からは5周遅れだ。

 LMP2クラスもトップ2は変わらず、チームWRTの31号車オレカと41号車オレカが僅差でトップを争っている。クラス3番手は、長らくパニス・レーシング65号車オレカと接近戦を演じていたJOTAの28号車オレカがこの戦いを制し、上位2台を追いかけるかたちだ。

 LMGTEプロクラスはAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evoが依然としてリードを保っており、これを63号車シボレー・コルベットC8.R(コルベット・レーシング)と92号車ポルシェ911 RSR-19(ポルシェGTチーム)が同一ラップで追随している。
 
 プロアマクラスのLMGTEアマもAFコルセがクラスリーダー。83号車フェラーリ488 GTE Evoがトップを走り、クラス2番手が95号車アストンマーティン・バンテージAMR(TFスポーツ)。同3番手には60号車フェラーリ488 GTE Evo(アイアン・リンクス)が入っている。

 中盤に好走をみせていた木村武史組57号車フェラーリ488 GTE Evo(ケッセル・レーシング)は夜間にストップした後、エンジントラブルによってリタイアとなった。星野敏と藤井誠暢がドライブする777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)はクラス7番手を走行中。イノベーション部門の“特別枠”から今大会に参戦している青木拓磨組84号車オレカ07(アソシエーションSRT41)は総合35番手につけている。

 第89回ル・マン24時間はこの後、現地16時(日本時間23時)に決勝レースのフィニッシュを迎える。

AFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evo
AFコルセの83号車フェラーリ488 GTE Evo

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