中国で健康診断〝替え玉ビジネス〟 3万円でそっくりさん手配

中国・武漢市(ロイター)

自動車メーカーのホンダは、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響で稼働を停止していた中国湖北省武漢市の現地合弁の完成車工場を先週から再開した。市の一部封鎖を受けて、3日から止めていた。

市当局によると、感染者が減少したことで12日から部分的な封鎖解除を行っていたという。ホンダは市政府の指導に従い、防疫対策を徹底しているとしている。

そんななか中国では、替え玉健康診断を手配していた組織の存在が発覚し、騒動になっている。中国紙「彭湃(ホウハイ)新聞」は先日、健康診断の受診者に対し、替え玉の受診者を手配する犯罪グループが存在していることを報じた。

なぜ替え玉が必要なのかというと、中国では会社員や公務員が就職する際、健康証明書の提出が義務づけられているため。同新聞によると、健康に問題を抱える人に対し、健康優良の健康証明書を得られるよう、違法業者が健康な替え玉の手配を持ちかけていたという。業者は検索サイトやSNSなどに広告を出し、集客していた。

業者は約1800元(約3万円)で客の身分証明を預かり、客とそっくりで健康な人間に健康診断を受けさせ、受け取った健康証明書を客に渡していたという。

この替え玉は今後、大きな問題になりそう。中国人ジャーナリストの周来友氏は「中国では現在、海外渡航者向けにワクチンパスポートを発行していますが、その制度にも大きな影響を与えることになるでしょう」と語る。

中国では3月から、ワクチン接種歴、PCR検査、抗体検査の結果を記録した事実上のワクチンパスポートとなる「国際旅行健康証明書」を発行している。

「違法業者が同様の手口で替え玉検査を行った場合、コロナ感染者にもワクチンパスポートが発行されることにもなり、感染者の海外渡航を許すことになります。これを防ぐためには、指紋認証など生体認証を組み合わせたチェック体制が必要。しかしチェック体制の強化を理由に、ますます個人情報の監視が進むことが懸念されます」と周氏は指摘している。

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