【高校発みやざきSDGs】ー26ー佐土原(上) 横断的学びを生かす

バス停に太陽光・風力による照明の設置を終えた生徒たち

 本校は「人ありて技術」の精神のもと日々学習しており、3年次には学んだ技術を活用し、身の回りの課題を工業技術で解決し、工業人の資質を高める「課題研究」に取り組んでいる。

 これまでのテーマは既定のものや生徒自身の設定などさまざまだったが、本年度は授業で学んだSDGsを念頭に検討した。エネルギー問題やゴミ問題、暮らしやすい街づくりなど、多くの課題が挙げられ、テーマ設定は難航した。決定には多くのデータやアイデアを整理してまとめ、新たな発想を生み出す「KJ法」を用い、最終的に「再生エネルギーの活用」と「福祉車両の開発」の二つに絞り、製作に挑んだ。

 「再生エネルギーの活用」は太陽光と風力を用い、雨天でも風が吹けば充電できることを目指して、装置を製作し、学校前のバス停に設置した。風車の回転翼は危険なため、今は太陽光のみで充電しているが、省電力のLED照明を使用したり、タイマー制御を用いて真夜中時には消灯したりすることにより、毎日バス停を明るく照らしている。また、リユースも心掛け、太陽光パネルは先輩たちの研究で使っていたものを、蓄電池は工業系部活動から余剰分を借り受けるなどして、新たな部品購入を極力控えた。パネルの設置角度は、季節ごとの発電量の違いを調べて決めるなどした。SDGs達成のために、生徒たちが学んだ専門・普通教科の横断的な学びを、実際の生活上の課題解決にどう生かせるか考え、取り組む姿がそこにあった。(教諭・松本幸一郎)

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