韓国経済誌「様々リスク一気集中の経済危機到来する」「貿易で主要国からターゲットに」

韓国の経済誌が、新たな経済危機「パーフェクトストーム」の危険が浮上しているとし、その背景や、どうすればこれを回避できるかについて問う記事を掲載している。

韓国の「マガジン韓経」は23日、元韓国経済新聞論説委員のハン・サンチュン記者の分析記事を掲載し、ムン・ジェイン(文在寅)政権発足後、各種経済危機の可能性が議論されてきたが、「今年の夏休暇後すぐに急浮上しているのが《パーフェクトストーム》である」であると指摘した。

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パーフェクトストームとは複数の台風が衝突して爆発力が大きくなる現象を指す。これを経済危機として用いる場合、複数の要因によって大きな規模の危機が経済で起こることを意味する。

今月、金融行政の司令塔に就任したジョン・ウンボ金融監督院長は、「限界企業や営業不振拡大の可能性、バブル懸念が出ている資産の価格調整など、さまざまなリスクが一時に集中してやってくる《パーフェクトストーム》が発生する可能性がある」と警告した。1998年のIMF危機や2008年の世界金融危機のような巨大経済危機が発生する可能性について言及した形だ。

ジョン院長は「問題の根本的な原因が過度の流動性供給にある」とも語っている。つまり、市中にお金が溢れ、住宅価格が上がり、家計負債が急増している今の状態が非常に危険であると言い換えることができる。

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ハン記者は、韓国の主力産業であった製造業の生産条件がますます悪化していることや、低出生率と高齢化で生産可能人口(特に青年層)が減少していることが危機の最大の要因となっていると指摘。

ハン記者はまた、貯蓄率の低下が、生産に必要な資本の調達を阻害する要因として作用していることに言及し、「貯蓄率が低下する要因として政界のポピュリズム的な社会保障支出の拡大」などに言及した。

続けて、「腐敗と賄賂事件もなかなか減らない」とし、「一国の賄賂と腐敗の程度は、政治的影響力と行政規制に比例する。排他利益の経済地帯が発生するからである。これ勝ち取るために、社会のメンバーは、熾烈なロビー活動を展開して、この過程で賄賂と腐敗が蔓延」されると警鐘を鳴らした。

その上で、「今の韓国経済も1990年代以降の日本経済のように、いくら良い政策信号を送っても政策受容層が、反応しないゾンビ局面に陥っている」と指摘。

ハン記者は、対外的にみると韓国の経済規模は大きくなったものの、対外輸出力のわりに増えない内需のため、「主要貿易国から通商摩擦のターゲットになっている点も韓国経済の未来を暗くする要因である」と懸念した。

ハン記者は、通貨危機以降に出奔したどの政権でも、経済の安定性が揺れ続け、危機論が消えないのは、「経済立法と政策の運用体制を中心とした《社会システムの危機》に由来する」と主張。ムン・ジェイン政権の経済政策については、「構造調整努力を遅延させることで、子孫が負担しなければなら社会的費用が大幅に増えると予想される」などと批判した。

この記事を読んだ韓国のネットユーザーからは

「生産可能人口が減るのが問題か?ものすごい青年失業率はどのように説明するの?米国政府はテーパリング(※量的緩和を徐々に縮小すること)するとき、まず初めに雇用率を見るのに、私たちは誰も興味を持っていない」

「この最中にアフガン難民を受け入れる国会も問題だ。国家負債を増やし難民も増える」

「政権の憎しみから悲観論を煽ってないですか?経済は、経済のみ理解して解決すべき…」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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