16万光年彼方で輝く宝石のような星々。ハッブルが撮影した大マゼラン雲の散開星団

【▲ 散開星団「NGC 2164」(Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Kalirai, A. Milone)】

こちらは南天の「かじき座」の方向にある散開星団「NGC 2164」です。散開星団とは、数十~数百個の恒星がまばらに緩く集まっている天体のこと。ちなみに星団には球状星団というものもありますが、こちらは散開星団よりもずっと数が多い数十万個ほどの恒星が密集しています。

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散開星団や球状星団の美しい姿は宝石箱に例えられることがあります。画像に写るNGC 2164も輝く星々と背景の黒い宇宙とのコントラストが見事で、恒星が並んで見える部分は宝石が連なったネックレスやブレスレットのようでもあります。

散開星団は天の川銀河では銀河円盤に分布していますが、NGC 2164は天の川銀河ではなく、約16万光年先にある別の銀河「大マゼラン雲」に存在する星団です。

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大マゼラン雲は質量が天の川銀河のおよそ100分の1しかない小さな銀河ですが、それでも数十億個の星々でできています。欧州宇宙機関(ESA)によると、大マゼラン雲では約60個の球状星団約700個の散開星団が見つかっています。

冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による赤外線・可視光線・紫外線の観測データをもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Cluster in the Cloud」(雲の中の星団)としてESAから2021年8月23日付で公開されています。

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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Kalirai, A. Milone
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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