「あれは理にかなった歌い方」昭和の大スター鶴田浩二の独自の歌唱法を業界目線で解説

「011」は札幌の市外局番

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シンガーソングライターで"選曲家"の松崎真人が、日本の曲・日本語の曲を中心に"厳選かけ流し"(イントロからアウトロまでノーカット)でお届けするSTVラジオ『MUSIC☆J』。21日は、なかなか「ディープな昭和」の歌謡ステージ事情や社会背景、映画事情などに入り込みました。アラフィフ世代より上でないと「何のこと?」と突っ込まれそうな話題ですが、この日いちばん長い"御託"となったのは、このお話しです。

松崎:(リスナーからのメールに)左手を耳に当てて歌っていましたねと書いてありますが、ちゃんと理にかなった歌い方なんですね、あれは。

M05「傷だらけの人生/鶴田浩二」

松崎:片方の手を耳に当てて、片手でマイクを持って歌うというのは…恐らく、当時(昭和40年代)の歌番組では、後ろから楽団の音がそのまま聞こえてきていたと思います。そう言う音を全部まとめて、マイクを通した自分の声と一緒に、ステージの足元のモニターから、歌いやすいように返してもらうシステムは恐らく1971年だと不完全だったと思われます。

松崎:自分の音程を正しく保ちたい場合に、楽団の音は片方の押さえてない(手を当ててない)方の耳で聴いて、自分の声は手のひらの空洞を伝って口から発声された自分の声が直接、自分の耳に届くような"独自のモニターの方法"、自分の声を聴く方法を編み出したんでしょうね。

松崎:確かに、歌番組で聴いても、鶴田浩二さんの歌はとても安定していて、何となく子供心に「かっこいい大人のひとり」と思っていました。でも、その頃は1971年ですから、鶴田浩二さんは1950年代からスターでしたからね。青春スターから始まって、だんだんシブい大人の役者になっていくわけですけど、1971年にして「右を向いても、左を見ても、馬鹿と阿呆の絡み合い」って、69年の安保闘争あたりから世の中が混沌としてきて、高度成長を遂げたのはいいんだけど、その矛盾として公害問題とか、政治の汚い部分が見えてきたりとか、色んなコトが起こりだして社会の矛盾が露呈していく中で迎えたのが1971年でした。

松崎:次にお送りする曲も、学生運動の名残を受けて、例えば「反体制」みたいなことがまだ格好いいと思われているイメージも残りつつ、時代はどんどん先に進んでいくということで、映画の中でフィクションとしての反体制のようなものがもてはやされる時代が来るわけです。東映のヤクザ映画シリーズはもちろんですが、女性ではやはりこの人ですね。冬の『MUSIC☆J』でも何度かかけてますが、私この夏もまた見てしまいました、「女囚さそり」シリーズね。若き日の梶芽衣子さんが、投獄されては脱獄を繰り返す映画なんですが、なかなかエグい描写があって、いま地上派では絶対、見られないと思うので、見たい方は各自、レンタルビデオとか配信とかで見るしかないのかな…。

M06「怨み節/梶芽衣子」

グループサウンズも「ザ・昭和」の楽曲と言えますが、この2曲のラインナップは「ディープ・昭和」と言えましょう。…1週間のご無沙汰でした、松崎真人です。今週もお送りするのは、わたくしが心を込めて選びぬき、みなさんの胸に響き、心に残る思い出の音楽と語りの3時間・・・『MUSIC☆J』でございます。(←昭和を感じて頂けましたか?BGMは、ニニ・ロッソで)。…左耳に手をあてて歌う鶴田浩二を札幌で生で見たことがる編者も、感慨深く聞いてしまいました。

<松崎真人の編集後記>
「山のロープウェイ/ふきのとう」この曲を含むアルバム『011』は札幌レコーディング。中島公園パークホテルの向かいにあったYAMAHAのスタジオ「STUDIO JACK」にメンバーやエンジニアを招いて作られた。表ジャケットはYAMAHA札幌センターの地下駐車場出口にたたずむ山木、細坪を逆光で撮影したもの。二人の向こうに今もある歩道橋とパークホテルのエントランスが写っている。インナースリーブには懐かしいJACKの黄色い外壁の前で参加メンバーの集合写真。僕が高校1年生で初めてスタジオレコーディングというものを経験したのもこのJACKだった。ちなみにプロデューサーは吉野金次氏(松崎真人)。

★『MUSIC☆J』からお知らせ!★
7月から8月半ばまでお送りした『ナイタースペシャルMUSIC☆J』の特集企画「日本語ロックの8人」。たいへん好評を頂き、ついてはその「補講」を行うことと致しました!ラインナップは…

・8/28(土)森高千里〜「阿久悠的なるもの」へのアンチテーゼ「ブログ詞」の誕生
・9/ 4 (土)矢沢永吉〜時代に合わせ作詞家を選ぶ感性の確かさ
・9/11(土)松本隆と80’sの好敵手(ライバル)たち〜売野雅男・康珍化・秋元康 etc.
・9/18(土)リクエスト企画「松本隆の作詞によるB面曲、アルバム曲」特集
・9/25(土)リクエスト総棚ざらえ

3回の本講と、2回のエギジビジョンのイメージです。秋が深まる時節、これからも土曜の夜の始めは『Music☆J』で楽しみ下さい!

<8月21日のプレイリスト>
M01「楽園/平井堅」
M02「Secret of my heart/倉木麻衣」
M03「Time goes by/Every Little Thing」
M04「好きにならずにいられない/岩崎宏美」
M05「傷だらけの人生/鶴田浩二」
M06「怨み節/梶芽衣子」
M07「アンサーソングは哀愁/早見優」
M08「山のロープウェイ/ふきのとう」
M09「横恋慕/中島みゆき」

M10「秋の気配/オフコース」
M11「さざ波/荒井由実」
M12「シルエット/牧野由依」
M13「夕陽が泣いている/ザ・スパイダース」
M14「太陽の剣/ザ・ブルーインパルス」
M15「夢の雫/T.M.Revolution」
M16「One Last Kiss/宇多田ヒカル」
M17「no no darlin’/CHAGE&ASKA;」
M18「さよなら夏の日/山下達郎」

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週土曜 18:00~21:00)※21日は特番のため、2時間の短縮放送。

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MUSIC☆J

放送局:STVラジオ

放送日時:毎週土曜 18時00分~21時00分

出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター・選曲家(北海道出身)

番組ホームページ

70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。松崎の"微妙な滑舌"も病みつきになるかも。(ナイターオフ期は、火~金19:00からで、広島・RCCラジオでも同時ネット)。

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