後半戦に浮上の余地あり? 阪神大山や西武山川ら前半戦“ツイてなかった”選手とは…

阪神・大山悠輔(左)と西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

200打席以上立った打者で最も低いBABIPだったのは…

東京五輪の中断期間が明け、後半戦がスタートしたプロ野球。各球団が90試合前後を消化し、リーグ優勝、クライマックスシリーズ進出を目指して残り50試合ほどを戦っていくことになる。

セイバーメトリクスの指標には「BABIP」というものがある。「本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合」を示しており、全選手の平均値は.300前後に収束するとされている。セイバーメトリクスではフェアグラウンドに飛んだ打球が安打になるかどうかには“運”の要素が大きく絡むとされる。打者の場合は走力のある、なしによって、BABIPの高低は出るものの、その選手の平均的なBABIPに回帰していく傾向がある。

そこで、この「BABIP」を用いて、本来の打撃成績から著しく乖離した成績となっている選手を検証。この先、浮上の可能性のありそうな選手を探ってみたい。なお、指標はセイバーメトリクスを用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照した。

今季200打席以上に立っている打者で、最も低いBABIPとなっているのが中日の阿部寿樹内野手で.227。今季ここまで打率.209と苦しんでいる阿部はBABIPの自己平均はちょうど.300ほどで、不振もあるだろうが、BABIPから見ると、運の面でも恵まれていないということになる。

ヤクルト・塩見泰隆【写真:荒川祐史】

阪神の大山らも低いBABIPとなった一方で、著しく高いのは…

阿部に続くのが西武の山川穂高内野手。ここまで打率.224となっている山川のBABIPは.232。足の速くない山川だけに、平均BABIPは.265ほどと高くないが、この先、打率が上昇する可能性を秘めている。BABIP.266だった2019年には打率.256を残している。

また、阪神の大山悠輔内野手もここまでのBABIPは.244となっており、自己平均の.286よりもかなり低い。現在の打率は.238と低迷しているが、今後、上向いてくるか。ソフトバンクの松田宣浩内野手(.250)、ヤクルトの山田哲人内野手(.262)や村上宗隆内野手、巨人の岡本和真内野手(ともに.264)も自身のBABIPよりかなり低く、今後、打撃成績を上向かせてくるかもしれない。

一方で、200打席以上に立っている打者で最もBABIPが高くなっているのが、ヤクルトの塩見泰隆外野手。ここまで.418と突出したBABIPとなっており、ここまではかなり“運”も味方していると言えそう。DeNAのタイラー・オースティン外野手は.386、阪神の佐藤輝明内野手は.371と、こちらも運に恵まれている選手と言えそうだ。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

© 株式会社Creative2