電動SUVシリーズのエクストリームEが『ルーキー・インビテーショナル・テスト』の開催を発表

 地球環境保全活動とその啓蒙、さらに男女平等の理念を採用するまったく新しいEVオフロード選手権として誕生した『Extreme E(エクストリームE)』シリーズが、次世代のオフロードレーサーを発掘するための施策として“ルーキー・インビテーショナル・テスト”の開催を発表。新たな第4戦としてアナウンスされている10月23~24日イタリア・サルディニア島での“Island X Prix”に続き、イベント終了後の25日(月)にテストセッションを設けることを決めている。

 2021年も依然として猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)感染再拡大の影響を考慮し、第4戦としてブラジル北部パラ州サンタレンで予定されていた10月23~24日の“Amazon X Prix”と、同じく第5戦としてアルゼンチンはパタゴニア地方ティエラ・デル・フエゴで実施予定だった“Glacier X Prix”の2戦を延期していたシリーズは、山火事の影響を被ったサルディニア島での1戦に新たな要素を付け加える。

 現在このシリーズに参戦し、エクストリームEのビジョンに賛同する9つのチームに対し、それぞれ男性と女性の2名をテストする枠が与えられ、より多くのドライバーにプロの世界で進歩する機会に触れ「電動モビリティによるモータースポーツ革命に参加する契機を作り出すのが狙い」とされている。

 各チームはシリーズが創設した著名ドライバーが名を連ねる“ドライバー・クラブ”からではなく、独自のルートでドライバー選別をすることが許され、招待された選手はサルディニア島での“Island X Prix”にも帯同し、パドックで競技を体感することでシリーズのユニークな性質を理解するチャンスが与えられる。

 その後、月曜のテストに参加するドライバーは、コースでタイムラップを完了する前に、車内での練習時間を割り当てられ、セッションの合間には2001年にダカールラリー史上初の女性ウイナーに輝いたABT クプラXEのレギュラー、ユタ・クラインシュミットによるドライビングレクチャーや、シリーズのドライバーによるモータースポーツでのプロキャリアに焦点を当てた多数のワークショップに参加する機会がもたらされる。

ここまでの初年度シーズンでは、サウジアラビア、セネガルでの2戦を開催してきた
7月から大規模な火災に見舞われたイタリア・サルディニア島を舞台に、10月23日~24日に第4戦“Island X Prix”を実施する

■「すべてのドライバーにとって大きなチャンス」とクラインシュミット

 シリーズの創設者兼CEOであるアレハンドロ・アガグは「シーズン1ながら不慮のカレンダー変更となった後半戦に、ルーキー・インビテーショナル・テストの開催を実現できることをうれしく思う」と述べた。

「これはオフロードEVでの競技に関心のあるドライバーに対し、ハンドルを握るだけでなくシリーズ独自の価値観に触れてもらうことも目的だ。このアイデアは、あらゆるギャップによる才能の機会損失(とくに女性ドライバー)を憂慮したチームとのさまざまな会話から生まれたものだ」と続けたアガグCEO。

「そのため、こうしたテストを実施して世界のあらゆる才能を掘り起こしたいと思い立った。チームが選択するドライバーや、その才能の輝きを目撃するのが楽しみだ。必要なのは、自分のスキルを披露するチャンスが与えられることで、それこそが才能を駆り立てるんだからね」

 一方、FIA(世界自動車連盟)では“Women in Motorsport”活動の代表や、クロスカントリーラリーの理事など要職を務めるクラインシュミットも、このシリーズで「非常に多くの女性ドライバーがレースをする機会を得たことを、とてもうれしく思っていた」と、男女ペアで構成される唯一のモータースポーツ競技の価値を説く。

「このシリーズを通じて、そしてルーキー・インビテーショナルを通して、私たちはさらに多くの女性の才能を発見する機会を得ることでしょうね。競技デビューを夢見て、自分のスキルと才能を証明したいすべてのドライバーにとって、これは大きなチャンスになるはず」と続けた“砂漠の女王”ことクラインシュミット。

「私自身もこのテストプログラムに参加し、長年の経験から得た知識を共有できることを光栄に思っている。たくさんの出会いに向けてとてもワクワクした気分ね」

 シリーズでは、2021年10月1日までにドライバーの履歴書を添付した上で『Rookie Invitational(ルーキー・インビテーショナル)』という件名で、talent@extreme-e.com宛への応募を呼びかけている。

FIA(世界自動車連盟)では“Women in Motorsport”活動の代表や、クロスカントリーラリーの理事など要職を務めるユタ・クラインシュミットも講師役を務める
シリーズでは、2021年10月1日を期限に、参加希望ドライバーを広く募集している

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