もう一度ここに立ちたい… 史上初の女子甲子園、敗れた高知中央2年生エースの誓い

先発した高知中央の2年生エース・和田千波留【写真:共同通信社】

涙から一転、スッキリと…和田千波留投手の表情が一変

試合後は涙も見せていたが、報道陣の前に姿を見せたときはスッキリした表情だった。23日に史上初めて阪神甲子園球場で開催された、第25回全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝戦。高知中央の2年生エース・和田千波留投手は、5回1/3を投げ4失点(自責1)。チームを勝たせられなかった悔しさを糧に、来年こそ頂点に立つと誓った。

自身の投球は「45点です。先頭の流れが悪かった」と、悔しさを滲ませた。神戸弘陵(兵庫)との決戦で先発マウンドに立ち、初回を3人で抑えたが、悔やんだのは2回先頭打者との対戦だ。「三振を狙った球だったんですけど……」。4番・正代絢子内野手(2年)をカウント1-2と追い込んでから、遊撃内野安打を許した。その後、2つのスクイズと適時打で4点を失った。3回以降は立て直してスコアボードに0を並べるも、味方打線が相手の日高結衣投手(2年)、島野愛友利投手(3年)の前に4安打無得点と封じられた。0-4の完封負けで、日本一の栄冠を手にすることはできなかった。

地元高知県出身の和田は、中学時代は女子軟式野球チーム「高知家ガールズ」に所属。1学年上には主将の氏原まなか内野手(3年)らがいた。「先輩たちが高知中央の1期生として進学したので、自分も一緒にやろうと思いました」。背中を追いかけ、自らも進学先を決めた。

西内友広監督も「真面目で自分で努力する子」と評価するように厳しい練習に耐え抜き、地道な努力を続けてきた。その成果か今大会、秀岳館(熊本)との準決勝では7回を1失点完投し、自らの手で甲子園を手繰り寄せた。支えになったのは、先輩たちの存在だ。「投手陣は仲が良いので。自分が打たれても『大丈夫だよ』と言って励ましてくれます」。皆の気持ちを背負い、マウンドに立った。

甲子園に来たのは今大会が初めて。「普通に投げると緊張してしまう気がする」と、練習ではマウンドからの情景を頭の中に思い浮かべながら投球練習を行った。負けはしたが、成果は確かに出ていた。世間が注目している中でも堂々とした投球を披露し「思ったより緊張しなかった」と振り返る。直球とカーブ、スライダーをきっちり、コースに投げわけた。

先輩たちと一緒の野球はこれで最後となるものの、自身はまだ2年生。来年の甲子園開催について決まってはいないが、またここを目指せる可能性がある。「女子が立てる場所ではなかったし、歴史的瞬間だった」と貴重な経験を振り返る右腕は、報道陣からの「また立ちたいか」という質問に力強く頷いた。来年も必ず勝ち進む。そして甲子園のマウンドに帰ってこられれば最高だ。(Full-Count編集部)

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