今夜開幕の東京パラリンピック 公式服装製作のAOKI「緊張の毎日だった。選手の笑顔につながったらうれしい」

AOKIが手掛けた東京五輪・パラリンピック公式服装を紹介する本田執行役員=横浜市都筑区の「AOKI横浜港北総本店」

 24日に行われる東京パラリンピック開会式で、日本選手団が、紳士服大手AOKI(横浜市都筑区)の手掛けた公式服装を着て登場する。2年前、公募によって同社の製作が決定。選手一人一人の体形や好みに合わせ、東京五輪を含む関係者約1600人分を完成させた。担当者は「選手たちが同じ服装をまとう『集団美』を感じてほしい」と話している。

 日本オリンピック委員会(JOC)と日本パラリンピック委員会(JPC)が提示した、公式服装のコンセプトは「ニッポンを纏(まと)う」。2019年4月、複数社が参加して公募が行われ、秋に最終決定したという。

 しかし、20年に入ると新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大。3月には東京五輪・パラリンピックの1年延期が決定された。同社はしかし、「製作期間が長くなり、よりきめ細かい対応が可能になる」と前向きに受け止めたという。

 完成した公式服装は、ジャケットが白、パンツやキュロットスカートは赤と、日本国旗をイメージしたデザインを採用。全国から厳選して取り寄せた生地を使用した。ホスト国としての「正装」を意識しつつ、通気性を持たせるなど、見た目も着やすさも兼ね備えたという。

 同社が最もこだわった点は採寸だ。アスリートは、競技ごとに筋肉のつき方が異なることから一人一人を採寸し、それぞれの体形に応じて製作した。ズボンの丈の長さや太さなど、細かなシルエットの要望も反映。車いすを使用している選手には座った状態でジャケットの着丈を調整するなど、細部までこだわった。

 製作チームを率いた本田茂喜執行役員(59)は「製作期間は緊張の毎日だった。公式服装が選手の笑顔につながったらうれしい」と話している。

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