【パラヒーローズ】パラカヌー小松沙季 バレーボールで培った向上心が武器

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競技歴2か月で代表を勝ち取った小松(日本障害者カヌー協会提供)

【R e start パラヒーローズ その壁を乗り越えろ(40)】いよいよ東京大会が24日に開幕する。元Vリーガーでパラカヌー女子バーシングル200メートル(VL2)代表の小松沙季(26=電通デジタル)は、競技歴わずか2か月で代表を勝ち取った。バレーボールで培った“向上心”を武器に、道なき道を突き進む新星の胸中に迫った。

どんな時も前を向く――。これが小松の信条だ。小学2年からバレーボールを始めると、大学4年からV2リーグのブレス浜松で2季プレー。2018年に退団後は、大阪を拠点にバレーボールの指導者として活動していたが、19年6月に悲劇が襲った。「数日前から手足にしびれや脱力感があった。ある日、目覚めたら足が動かなかった」。約1年間の入院生活を経て退院したものの、今でも両足と左手にまひが残っている。

まさかの事態に見舞われながらも、小松はめげなかった。「小学2年からバレーをやってきて、いいことばかりではなく、苦しいこともあったので、忍耐力は鍛えられた。歩けないけど、しゃべれるし、ご飯も食べられるし、景色を見ることもできる。意外と諦めは悪いので、今でも良くなると思っているし、もうだめかなって思う瞬間はなかった」。いつか必ず歩けるようになると信じて、今でも時間を見つけてリハビリに励んでいる。

そんな小松に転機が訪れたのは、20年12月だった。パラスポーツの測定会に参加すると、複数の競技団体から誘いを受けた。その中で、高知県立障害者スポーツセンターの関係者から「県内の障がい者スポーツの幅を広げていきたい」と声を掛けられ「(故郷の)四万十市を拠点にできる競技をやろうと思い、カヌーに決めました」と覚悟を固めた。

3月から本格的に水上での練習をスタートさせたが、当初は「全部が全部できる気がしなかった」という。それでも、毎回課題をノートに書き込むなど、試行錯誤を繰り返した結果、みるみると技術が上達。5月のワールドカップ(ハンガリー)では5位に入り、周囲を驚かせた。

ただ、ここで立ち止まるつもりはない。「無理だと思ったり、自分にはできないんだろうなと思うこともあるはずだが、やってみることに意味がある。中途半端は嫌いなので、やるからには一番を目指したい」。さらなる高みを見据えるヒロイン候補から目が離せない。

☆こまつ・さき 1994年10月1日生まれ。高知県出身。小学2年からバレーボールを始め、大学4年からV2リーグのブレス浜松で2季プレーした。2019年6月に体調を崩して入院。両足と左手にまひが残り、車いす生活となった。20年6月からは地元でリハビリを続けている。同年12月にパラスポーツの測定会に参加したことがきっかけでパラカヌーの世界へ。21年3月から本格的に練習をスタートさせると、5月のワールドカップ(ハンガリー)で5位に入り、東京大会代表に内定した。165センチ。

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