中田英寿 万全を期しファーストクラスで代表合流していた

現役時代の中田(中)は移動時にも気を使った

【多事蹴論(10)】サッカー日本代表は9月から2022年カタールW杯アジア最終予選に臨む。W杯7大会連続出場をかけて9月2日にホームでオマーン戦、同7日にアウェーで中国と対戦する予定だが、日本サッカー協会ではW杯予選突破をサポートするため、さまざまな“特権”を日本代表に与えている。

少しでも選手たちの負担を軽くするため、合宿や遠征で宿泊するホテルは4つ星以上とし、原則1フロアの貸し切り。選手には1人部屋が与えられている。ちなみにキャプテンの長谷部誠には他選手よりも広い部屋が割り当てられることもあったという。他にもイレブンがコミュニケーションを図れるようにリラックスルームを設置するなど、試合に向けてストレスを感じさせないような配慮がなされている。

また、日本代表に選出されたイレブンには移動用に高級ブランドのスーツ一式が提供。W杯最終予選などの海外遠征では可能な限り日本食を提供するとし、専属シェフが同行するケースも。移動に関しても、原則ビジネスクラスで移動する。海外でプレーしている選手が代表参戦する場合もビジネスクラスでチームに合流している。

特に海外各国リーグでプレーする選手が日本で試合を行うために帰国する場合、欧州から片道10時間以上のフライトを強いられる。ここで疲労やストレスを抱えるようであれば、試合でのパフォーマンスに影響を及ぼしかねない。ビジネスクラスの料金はエコノミークラスの倍以上となるものの、協会側は勝利のために負担している。

なでしこジャパンや世代別代表がうらやむような厚遇だが、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は技術委員長時代に「選手たちがピッチで頑張ることがメインだけども、世界に勝つためには必要なこと。1%に満たないかもしれないけど、勝つ確率は上がるかもしれない。いろいろなことを積み上げていくことで日本が強くなれると信じている」と話していた。

そんな中、日本代表の大黒柱で1998年から05年までイタリアでプレーしていた中田英寿は万全の状態で代表に合流するため、より快適なファーストクラスで帰国していた。もちろん、差額は“自腹”となったが、コンディションを維持するために出費を惜しまなかったという。ただ、当時はイタリア発の直行便にファーストクラスがなかったため、ロンドンやパリ経由のフライトを利用したという。

06年ドイツW杯を指揮した元ブラジル代表のスター、ジーコ監督は普段から母国と日本を行き来する際にファーストクラスを利用しているが、日本代表監督として海外遠征する場合には、選手たちと同じビジネスクラスで移動した。代表スタッフによると、指揮官は言葉にこそしていなかったが、いつも不満そうな表情を見せていたという。

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