政権奪還はホントに狙ってる?税金は、上げるの下げるのどっちなの?乙武洋匡が田村智子氏に聞く!

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今回は2020年8月16日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは日本共産党・田村智子議員です。政権奪還への思いや税制について伺いました。

共産党は政権奪還を狙っているの?

田村議員は、「新型コロナウイルスへの政権対応をみていると、野党が連立政権を目指さなきゃいけないと感じる。遅くない時期に実現しないと日本の社会はとんでもないことになるという問題意識を持っている。元々、単独政権は目指していない。ヨーロッパでも連立政権は当たり前で、色んな政党や団体とも協力し、多様な意見をどう実現していくのか。そのほうが面白いと思う」と話しました。

乙武氏は、「共産党は改憲を阻止したいというこだわりが強くあると思うが、国民民主党には改憲論議を積極的にしていくべきだという議員が多数いる。ひとまとまりになることは可能ですか?」と尋ねます。

田村議員は、「当面の政策の一致点が何なのかを大切にしたい。今、憲法を変える必要性があるのかを問いかけたときに、必要性があると答える人がそんなに多いとは思えない。今の憲法をどう守り、どう活かしていくかという一致点を作っていきたい。私たちは憲法の議論については否定していない。ただ、改憲の議論は不一致になるから置いておきましょうと言わなければならない」と話しました。

続けて乙武氏は、「憲法に環境権を入れようという意見もある。共産党は憲法9条以外の加憲もしたくないと思っていますか?」と尋ねます。

田村議員は、「憲法を変えなければできないことは、自衛隊が軍隊となって行動することだ。環境に対する様々なことは、幸福追求権や健康で文化的な最低限度の生活を営む権利などの基本的人権のなかでできないことはないと思う。憲法改正のいちばんの焦点は9条だ」と話しました。

共産党からみて、れいわ新選組はどのような存在なのでしょうか。

田村議員は、「ぜひ一緒にやりたい。私たちが連立政権を提起して協議しましょうと言ったとき、真っ先に応じてくれたのが山本太郎さんだった。れいわ新選組から消費税を5%にする案を提示されたが、そこに関してはもう1度話し合いたい。消費税は所得の低いところに重くのしかかる税金であることには間違いないから、減税も先々には必要だと思う。ただ、これを今飲み込まなければ野党共闘はできないとなってしまうと、せっかく新しい政治を望んでいる方が広範にいるときに、その期待を裏切ってしまうことになる。壊す方向ではない話し合いをどうしたらできるのか、れいわ新選組の皆さんとも協議したい」と話しました。

共産党の税金に対する考え方

乙武氏は、「共産党は、福祉を手厚くしていくべき、弱者にお金を配るべきだと言っている。そうであれば、増税をメッセージとしてもっと出していく場面があっていいのかなと思う」と投げかけます。

田村議員は、「法人税を見直すことで、内部留保をただ膨らませるだけの大企業も利益に対する税金の納め方が変わっていく。また、金融資産を持っている方への税制優遇はおかしいから、増税が必要だ。タックスヘイブンのところに沢山資産を隠している方もいるから、どうすれば税金が取れるか国際的に議論することが必要だろうと問題提起もしている」と話しました。

続けて乙武氏は、「相続税に関して共産党はどうお考えですか?」と尋ねます。

田村議員は、「小さなものしかないところに大きな相続税がかかってしまうと、住んでいる家を失いかねないという問題も生じる。相続税より、現在回っているお金への増税をまずはやっていきたいと思う」と話しました。

乙武氏は、「耳当たりの良いことしか言わない党もあるなか、痛みも伴うとハッキリ言ってくれたら党の比較がしやすい」と話します。

田村議員は、「消費税を廃止に持っていこうとすると、所得税の累進度をより高めていかなければならない。そうなると、中間所得層より少し上の皆さんがもう少し所得税を納めることになり、そのことを共産党は選挙公約にも書いてある。ただし、医療費の3割負担や様々な保険料が重すぎる問題があるから、こういうところの負担を減らす税金の使い方だと考えている」と話しました。

今のままでは経済がダメになる!?

乙武氏は、「行き過ぎた資本主義の是正が、今の共産党の感覚値に近いですか?」と尋ねます。

田村議員は、「今はあまりにも歪んでいる。必要な人件費までも削ることで短期的な利益を上げ、株価を上げて配当金を出す。こんな考え方では経済がダメになる」と話しました。

続けて乙武氏は、「不労所得を得られるような金融資産を持っている人の方がごく一部で、そうでない人の方が大多数にも関わらず、なぜ(税を見直す)制度は成り立たないのですか?」と尋ねます。

田村議員は、「税の歪みを正していく必要性に、多数の人がたどり着いていないと思う。あるいは、自分も株で儲けられると考える若い人もいるかもしれない。沢山情報を持っている証券会社が、大切な顧客に損をさせないようにするのが今の株式でまわっている姿。そのことを問題提起すれば、世論も少しは変わっていくと思う」と話しました。

乙武氏は、「税金は取られたくないもので、悪だというイメージが有権者にもこびりついていると思うが、それは正しくないと思う。国を運営していくのにどうしても必要な予算であり、どこを増やしてどこを減らしていくのかという議論を積極的にする意味では、増税のメッセージを発信していく政党があってもいいと日頃から感じていた」と話しました。

 

田村智子氏プロフィール

1965年長野県生まれ。早稲田大学卒業後、日本民主青年同盟東京都委員会勤務。日本民主青年同盟中央常任委員、日本共産党議員秘書、日本共産党東京都委員会副委員長などを経て政界へ。2010年参議院議員に初当選し、現在2期目。以後、日本共産党中央委員、同女性委員会副責任者、日本共産党副委員長、常任幹部会委員などに選出される。

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