シェフラー、アウディとともにフォーミュラE撤退。電動マシン導入を目指すDTMに参入へ

 自動車および産業用機械メーカーのシェフラーは8月16日、ドイツ・ベルリンで開催された2020/2021年ABB FIAフォーミュラE世界選手権最終戦をもって同シリーズから撤退し、2023年から“DTMエレクトリック”として電動レーシングカーの導入を目指すDTMドイツ・ツーリングカー選手権に参入すると発表した。

 電動フォーミュラマシンで争われるフォーミュラEでは『アウディスポーツ・アプト・シェフラー』として参入していたシェフラー。同社は、アウディの技術パートナーとしてフォーミュラE用パワートレインなどを開発してきた。

 そんなアウディスポーツ・アプト・シェフラーだが、先日行われたフォーミュラE最終戦をもってアウディがファクトリー活動を終了し、合わせてシェフラーもシリーズからの撤退を表明した。

 シェフラーは現在、モータースポーツにおけるコミットメントをDTMの完全電動化の未来に集中させており、30年以上にわたって成功を収めてきたDTMのシリーズおよびイノベーションパートナーとして、シェフラーはDTMの傘下組織であるITRとともに、初期デモカーを2020年秋にレース場で発表している。

 DTMは2023年から完全電動レーシングカーの導入を目指しており、シェフラーは、その“DTMエレクトリック”に投入される予定の完全電動の新型レースツーリングカーの電気駆動システムを開発している。

 この開発車両には、すでにレースでテストされている約1200馬力、トルクベクタリング、ステア・バイ・ワイヤ技術『スペースドライブ』と、4つのモーターを作動させるための統合ビークルダイナミクス制御システムが搭載されており、将来的には電動DTMの開発車両として、サポートプログラムへの参加が予定されているという。

 今回の決定に、シェフラーの自動車技術部門CEOであるマティアス・ジンクは「モータースポーツは、これまでも、そしてこれからも、シェフラーのDNAの重要な要素だ」と述べた。

「フォーミュラE、そして今回のDTMでの取り組みは、シェフラーのパイオニア精神とイノベーションに対する可能性を証明するものであり、テクノロジーパートナーとして、世界の技術を前進させるというシェフラーの主張を裏付けるものだ」

「アウディスポーツ・アプト・スポーツライン、そしてすべてのパートナーに感謝する。特に、チームのドライバーおよび元ドライバーであるルーカス・ディ・グラッシ、ルネ・ラスト、ダニエル・アプトには、個人的にも多大な貢献をしてもらった」

長きに渡ってアウディスポーツ・アプト・シェフラーのステアリングを握ったルーカス・ディ・グラッシ

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