古田敦也氏の“マニア向け”動画がバズった理由 一流捕手の技術へ寄せられた高い関心

元ヤクルトで野球解説者の古田敦也さん【写真提供:テレビ朝日】

公式YouTubeチャンネル「フルタの方程式」が人気の理由

ヤクルトで選手兼任監督を務めた野球解説者・古田敦也氏の公式YouTubeチャンネル「フルタの方程式」は、チャンネル登録者数が20万人に到達した。中でも最も再生回数の多いのが元中日監督の谷繁元信氏が登場した動画。2人のレジェンド捕手が究極のキャッチング技術を公開しているもので、一流の技を見ることができる。

「あのような捕手の技術を必要としてくれる人って少ないはずなのに……。そこに興味を持ってもらえているのが、このチャンネルの面白さなんですかね……」

古田氏は自分のチャンネルながら、反響の大きさに驚いた様子だった。ピッチングでもなく、バッティングでもない。キャッチングやボールの握り方、捕手の考え方などが詰まった作品だ。古田氏の言葉を借りれば、内容はかなり「マニア向け」。それでも、技術を盗みたい、知識として得たいという野球人が多いことがうかがえる。

「キャッチャーって(プレーする人が)少ないですし、実際に指導者も捕手の指導があまりわからないから『見たい』という人たちはいるとは思います。それでも、投手や打者の動画より、一番多く見られているっていうのは意外です。他のチャンネルでやっていないというか、珍しいのかもしれないですね」

すべての野球人に上達のきっかけになればいいというコンセプトで始まった「フルタの方程式」は、技術動画という視点だけでなく、コンテンツとしての面白さを視聴者は感じているのかもしれない。

「プロの一流と呼ばれる人たちが、コアな人に向けて、一生懸命(収録を)やっているということに、面白みを感じて、見てる人が増えているのかなあ、と。そういう意味でいうと、正しいことをわかりやすく伝えたい思いもありますが、マニア向けに作りすぎて、『やりすぎちゃうか?』って言われても、コンテンツとして楽しんでくれればいいかなと思います」

尽きることない“テーマ案”、超一流捕手は今も野球を学ぶ日々

「フルタの方程式」は2009年1月から2010年7月までテレビ朝日系の地上波で放送されていた時期もある。“野球通”に向け、古田氏が技術の真髄に迫った人気番組だった。YouTubeで復活しても、内容は濃いものとなっている。

谷繁氏との動画にファンからは「説得力がありすぎて引くレベル」「古田流と谷繁流、もう流派だな」「これが無料が見られる時代ってすごすぎる」とファンからの感謝のコメントも届いている。

「そういう(マニア向け)のが面白いと思って見てくださってるんでしょうね。それ(谷繁氏との捕手議論)がダントツ(の再生回数)になるとは、思わなかったです。こういうのが、僕らに期待されてるものなのかもしれないですね。『難しい』『こんなの誰が聞いてんの?』という話かもしれないですけど、そういうところを見たいという野球ファンが多いから、そこはやっていかないといけないのかなっていうのありますね」

古田氏も他のプロ野球OB選手から話を聞きながら、新しい発見をする日々。今後のテーマ案について話を伺うと、野球ギア、盗塁のスタート、球が速くない投手たち論、投手板、捕手の送球時の球の握り、ボールの重いと軽いの“正体”、ボールの回転数……次々に話題が浮かんできた。

球界を代表する捕手でも、野球の深さ、面白さをまだまだ感じている。だからこそ、コンテンツの“色”が濃くなっていくのだろう。

【動画】「説得力がありすぎて引くレベル」とファンも絶賛する古田vs谷繁の捕手議論

【動画】「説得力がありすぎて引くレベル」とファンも絶賛する古田vs谷繁の捕手議論 signature

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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