【競泳】怪物・萩野公介が示唆していた「引き際」と「新たな一歩」

東京五輪、競泳男子200m個人メドレー決勝レース後にたたえ合う萩野公介(左)と瀬戸大也

「怪物」と呼ばれた男がプールを去る――。競泳男子の萩野公介(27=ブリヂストン)が現役を引退することが分かった。所属先への報告をすでに済ませており、今後については未定。五輪3大会連続出場となった東京大会のレースを終え、新たな一歩を踏み出すことを決心した。

萩野は初の大舞台となった2012年ロンドン五輪400メートル個人メドレー(4個メ)で銅、16年リオ五輪の4個メで金、200メートル個人メドレー(2個メ)は銀と国際大会で数々のメダルを獲得。しかし、右ヒジの骨折などで本来の感覚を取り戻すことができず、近年は不調に苦しんだ。19年には4個メで自己ベストよりも17秒遅いタイムをマーク。その後、無期限の休養に入ったが、復帰後も記録が伸び悩み、もがき続けた。

東京五輪ではこだわってきた4個メを回避。2個メに絞ったが、歯車がかみ合わない日々が続いた。大会前の長野・東御合宿では部屋にこもったままで出ることができず、午前4時に平井伯昌コーチに「眠れません」と連絡を入れたこともある。そんな状況に周囲は家族を合宿地に招き、休日を一緒に過ごすなど心身のリフレッシュを図ることを進言したという。

現役終盤は苦労が絶えず、東京五輪で全レースを終えた後に「この五輪が一番幸せだなと思っています。(競技生活について)ひとまずは…というところはありますね」と〝引き際〟を示唆していた。

ライバルで盟友の瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)はツイッターに「彼の背中をずっと追いかけて来たから今の自分がいる。自分にとって本当に偉大な存在だった」と思いをつづった。トビウオジャパンのエースは、次はどんなステージに進むのか。

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