【MLB】大谷翔平の「大差でのMVPは明確だ」 エ軍入団から知る米記者が見た活躍と成長

エンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

「ジ・アスレチック」のファビアン・アルダヤ記者にインタビュー

今季ここまでMVP級の大活躍を見せているエンゼルスの大谷翔平投手。打者としてメジャートップの40本塁打を放ち、打点でもリーグトップに4点差の88打点をマークし、投手としても18試合に先発して8勝1敗、防御率2.79の好成績を残している。

この大谷の活躍を早い段階から予想し、そして喜んでいる米記者がいる。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」で今季途中までエンゼルス番を務め、現在はドジャース番として活動するファビアン・アルダヤ記者。2018年のエンゼルス入団時から大谷を見てきたアルダヤ記者に今の大谷について語ってもらった。

健康な状態を保てれば、信じられないほどの活躍をすると“予言”していたアルダヤ記者。それでも、この成績は想像以上だったようで「40本塁打、100投球回、防御率3点以下はとてもアンビリーバブルです。現時点で実に明確なことは、彼が大差でMVPだということ。エンゼルスと彼自身が夢見たことのすべてだと私は思っています。最良のシナリオでしょう」と絶賛した。

エンゼルス入団後は登板前日と翌日は欠場していたものの、今季は登板日に関わらず打者として出場。さらに登板日も“リアル二刀流”として打線にも名を連ねている。アルダヤ記者は「恐らくそこが最も感心すべき点でしょう」と指摘し「シーズン最初の頃にやっていただけでも素晴らしいですが、そこから今までの間、持続できています。彼の能力を物語っていますね。今季これまでに彼がやってきた何よりもアメージングなことでしょう」と語る。

大谷翔平をエンゼルス入団から知るファビアン・アルダヤ記者【写真:盆子原浩二】

子どもたちの未来を変えるも「オオタニになることはとても難しいこと」

大谷がエンゼルスに加入した2018年の姿を見ていたアルダヤ氏。当時を振り返り「投球、打撃のそれぞれで今のような活躍ができる能力があるのは分かっていました。しかし、毎試合プレーして、長期に渡ってスランプに陥ることなく、このレベルのプレーをここまで長い間続けています。安定感を保ちながら毎日プレーしています。素晴らしいことです」と、目を細める。

今季の残り試合について、同記者は「投手としてどれだけ成長し続けることができるかが最も重要なことでしょう」という。さらには「ここ数か月で制球力、四球の数を改善させました。まだまだ成長する余地がたくさんあります。私の知る限り、投球をフルシーズン行うのは日本時代以来となります。この先彼は成長していくでしょう」と太鼓判も押している。

22日(日本時間23日)のインディアンス戦は「リトルリーグ・クラシック」として行われ、多くのリトルリーガーたちの前でプレーした。アルダヤ氏は大谷の活躍が、こうした子どもたちの未来を変えると指摘する。

「特に(リトルリーガーのような)若い年代でチャンスがあって、その彼らは今までのような早さで一つの道に押し進められることはないでしょう。しかし、それでも覚えておくべきことは、ショウヘイ・オオタニは球界で最高レベルの打者であり、同時に球界最高レベルの投手であるということ。そして、その彼は1人の選手ということです。とても珍しいことです。ショウヘイ・オオタニと同じくらいの才能を持った選手かどうか、ということが大事です。オオタニになることはとても難しいことなのです」

子どもたちの“二刀流”としての未来を広げることになるとも言うアルダヤ記者。4年前から大谷を見てきた記者も、現在の大谷の活躍を嬉しく思っている。(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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