今や新車をローンで購入する人のほとんどが利用する残価設定ローン。かつてのローンとは異なり、購入時に数年後の下取り額を設定し、車両価格から下取り分を差し引いた分を支払っていくものだ。自動車ローンよりも月々の支払いは安く収まるために人気を集めている。だが、これには落とし穴があるのだ。今回は筆者の周辺で起こった経験談をもとに、残価設定ローンの恐ろしいデメリットをご紹介する。
大人気の残価設定ローン! 現金一括や通常ローンとなにが違う!?
まず注目したいのが金利だ。銀行のマイカーローンの場合には1~4%程度が相場。しかし、審査が厳しく、審査結果が出るまでにも時間がかかることがデメリットである。
対してディーラーローンは金利の相場は3〜10%程度となっている。金利が高いが、審査は比較的早いのが特徴。
そして、残価設定ローンだ。こちらは金利は4〜6%程度が相場とされている。もちろんこれもディーラーで申し込むことになるため比較的スピーディだ。
これだけ見れば、残価設定ローンは金利の安さと審査のスピードを考えると、銀行とディーラーのローンのいいところ取りをしているように思う。
クルマの使い方や乗り方によって損するケースも!
次にクルマの使い方。残価設定ローンは先に使用期間を決め、期間満了時の買取額をもとに月々の支払額が決定する。期間は大体3年や5年で設定されていることが多いが、満期を迎えると、そのクルマを売却するか、下取ってもらい新車と買い替えるか、そのまま乗り続けるかの3択である。
もしクルマを気に入って満期を迎えた後も乗り続けたいという場合には残価を負担する必要があり、一括で支払うか、再度ローンを組むかを選べる。再度ローンを組む場合には、自動車ローンを選択する以上に利息を支払う可能性もあるため、オススメではない。
さらに月間の走行距離上限が設けられているケースもあることから、長距離運転をする人には向かない買い方だ。走行距離の上限はおおよそ1ヶ月あたり1000〜1500kmに設定されていることが多い。
ボディカラーや装備でまったく違う! 残価設定ローンで購入するならリセールバリューもチェックを
そしてクルマの選び方。リセールバリューの高いクルマ、すなわち中古車市場で人気が高く、買取価格が高額となりそうな車種の場合では、購入時の残価よりも実際の買取額が上回るというケースもある。
具体例を挙げるならば、トヨタ 新型ランドクルーザーなどは国内外で人気が高いために、場合によっては査定額があらかじめ設定していた残価よりも大幅に高値で買い取られるケースもあるのだ。
また、人気のオプション装着車や白、黒、シルバーといった無彩色と呼ばれるボディカラーのクルマはリセールバリューが高い傾向にある。ちなみにランドクルーザーの場合、モデリスタのフルエアロを装着した個体であれば「ノーマルモデル比で10%以上も高値が買い取られる」と都内近郊のトヨタディーラーは話していたほど。
廃車になっても支払いは続く……知られざる残価設定ローンの落とし穴とは!?
また、残価設定ローンで購入する際に注意する点がある。
それは車両を壊してしまうとその差額を負担しなければならないということだ。残価設定ローンはクルマの状態がある程度保たれていることを前提に下取り額を算出している。
そのためクルマをぶつければ価値が下がってしまい、差額を負担する必要がある。
実は筆者の知り合いでホンダ シビックタイプRの新車を残価設定ローンで購入した者がいる。
購入後1年足らずで全損事故を起こしてしまい、あえなく廃車に。現在もなお廃車となってしまったクルマのローンを支払い続けているのだ。もっとも車両保険などに入っていれば保証されるケースもあるのだが、残念なことに知り合いは加入していなかったのだった。
そこで残価設定ローンで購入する際は、もしものことを考えて車両保険の加入は必ずお勧めしたいところだ。
特に免許取り立ての家族がいる場合やペーパードライバーだが子供の送り迎えなどでどうしてもクルマに乗らなければならないなどといった運転初心者が乗るクルマを購入する際には気をつけてほしい。
【筆者:MOTA編集部】