亡き父へ「頑張りました」 東京パラ競泳女子100背・山田が銀メダル

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女子100メートル背泳ぎ(運動機能障害S2)で銀メダルに輝き、笑顔でメダルを受け取る山田美幸=25日、東京アクアティクスセンター(写真映像部・立川悠平撮影)

 笑顔のインタビューから一転、涙ぐみながら声を振り絞った。「私もカッパになったよと伝えたい」-。25日の東京パラリンピック競泳女子100メートル背泳ぎ(運動機能障害S2)で銀メダルを勝ち取った14歳の山田美幸=WS新潟・阿賀野市=にとって、東京パラリンピックは自分だけのものではなかった。2年前に亡くなった、父一偉(かずい)さんへの思いも込めた大会だった。

 幼少期に山田が水泳を始めたのは、両親の「体が強くなってほしい」との思いからだった。

 一偉さんは、ゲーム好きの山田と一緒に遊んでくれた優しい父だった。阿賀野市の自宅から新潟市江南区のプールまで送迎してくれた。「俺も昔はカッパだったんだよ」。こんな冗談を言って、水泳の楽しさを伝えてくれた。

 実力がつき始めた3年ほど前、新潟水泳協会の関係者がパラを目指さないかと、家族に打診した。本格的な競技を行うことへの不安もあったが、一偉さんから「家族としてパラを目指す」と返事があったという。

 WS新潟の野田文江コーチ(79)は「お父さんが『この船に乗ろう』と、山田選手を後押ししてくれた」と振り返る。

 パラを目指し始めた2019年5月、山田が中学1年の時に一偉さんはがんで倒れ、亡くなった。その前から体調が悪く、3日後に入院、手術するということが決まっていた。

 一偉さんの温かい応援を感じながら、ずっと水泳と向き合ってきた。天国でメダルを掛けた自分の姿を見ているはず。父にはこう伝えたい。「頑張りました」 (報道部・河野雄也)