長崎商、一歩及ばず 自慢の粘り 随所に発揮し好ゲーム 第103回全国高校野球選手権大会

【3回戦、長崎商―神戸国際大付】再登板を含めて6回1/3を4失点と粘投し、バットでも先制2点打を放った長崎商の城戸=甲子園

 目いっぱい甲子園での野球を楽しんだ。長崎商は延長逆転サヨナラ負けで8強を逃したが、自慢の粘り強さを十二分に発揮。スコアボードが示す得点以上に濃密だった3回戦に、背番号1の城戸は「一試合一試合みんなで強くなっていけた。景色も違ったし自分が一番成長できる場所だった」と充実感を漂わせた。
 初回、見事な先制だった。相手左腕が22球を投げた中で見逃しストライクはゼロ。城戸の右前2点適時打をはじめ、積極的に振った。中盤は分厚い守備を何度も披露。五回2死二、三塁は難しいゴロを遊撃横田と一塁鬼塚の好捕でしのいだ。六回2死満塁は相手の代打の切り札を2番手田村が三ゴロに打ち取った。
 4-4で迎えた九回裏は城戸が再登板。1死満塁のピンチでカウント3-0になったが、そこから空振り三振と右飛に仕留めた。両校で記録した残塁は26。緊迫した守り合いの中、何度もはじけた選手たちの笑顔とガッツポーズは、青空が戻った聖地によく映えた。
 延長十回に1点を勝ち越して臨んだ最後の守りは2死二、三塁から4番と勝負。城戸が「絶対に逃げない」と内を狙ったツーシームは、無情にも逆転サヨナラ打となった。勝敗は紙一重。2時間51分で成功と失敗を重ねながら“これぞ甲子園”を全国に発信した。
 「うちの野球をやってくれた選手を褒めたい。101年の歴史を持つ野球部で新たな1ページをつくることができた」と西口監督も潔かった。伝統校の長商が長崎代表の力を示す価値ある夏だった。

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