「スッキリ」でアイヌ民族問題の検証結果報告 加藤浩次「さらに良い番組作りを」頭下げる

謝罪した加藤浩次

日本テレビ系情報番組「スッキリ」が3月12日放送内での「アイヌ民族差別表現」についての検証内容を26日放送内で報告した。検証報告は約30分の時間を割いて行われた。

始めにコーナー収録から、放送までの一連の経緯を調査。問題点として「コーナー担当者全員がアイヌ民族の歴史や差別に関する知識が乏しく直接的な差別表現であるという認識がなかった」「担当チーム以外への情報共有するシステムがなく第三者的視点でチェックする体制がなかった」との2点を挙げ、放送後の対応として「放送を見たチーフプロデューサーらが違和感を覚えながら『訂正』や『謝罪』を即座に判断できなかった」ことを挙げた。

その後、アイヌ民族の歴史を紹介するVTRを放送。明治時代の政府が行った同化政策の問題について、北海道アイヌ協会の中村吉雄副理事長へのインタビューも行い、同副理事長は「(同化政策で)失ったのは言語、アイヌ語、生き方」「日本人に対して『今日から日本語を忘れアイヌ語の教育をするから』という逆の立場ならどうだったんだろう。民族の言葉、言語を失うということは本当に悲しい実態なんだ」と話した。

このVTRを監修した北海道大学アイヌ・先住民研究センターの北原准教授の意見も放送。

同准教授は「視聴者にも制作者にも、様々な民族がいる。その中で自分がどの立場にいてどの立場の人に向けて放送するのかに注意を払って番組制作に臨むことが必要だ」とした上で「『アイヌは自然と共生する民族』といった、アイヌ民族の精神性を過剰に持ち上げた表現は好意的に見えるが、見下すことと表裏一体であり相手にとって必ずしも居心地のいいものでない。相手を評価するのでなくフラットに付き合うことが大切」と話した。

日テレは再発防止として「人権・差別の問題」をテーマにした研修の継続やコンプライアンス推進室に「人権担当」を配置、番組制作、放送についての新たなチェック体制の構築に取り組んでいるという。

MCを務める極楽とんぼ・加藤浩次は「我々は今回の放送で終わりだと決して思っていません。むしろ、今回が始まりだと思っています。アイヌ民族の歴史、文化についてこれから深く勉強しながら、スタッフ、出演者ともども、さらに良い番組作りを目指していきたいと思っています。この度は本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げた。

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