「ただサッカーがうまいだけでは…」 横浜M育成組織がSDGsに本腰入れる理由

環境問題の勉強会に参加したJ1横浜Mの育成組織の選手たち

 サッカーJ1の横浜F・マリノスがピッチ外でも「世界基準」の選手を育成しようと、民間企業と連携して環境問題の啓発に取り組んでいる。育成組織に所属する高校生向けの勉強会とスマートフォンの専用アプリを利用した清掃活動を初めて実施。今後は対象年代を広げる方針で、クラブは「SDGs(持続可能な開発目標)に当事者意識を持って向き合ってもらいたい」と話している。

 20日に横浜市内のクラブ事務所で開かれた講習会には13選手が参加。世界100カ国以上で利用されているというごみ拾いアプリを開発したピリカ社(東京都渋谷区)の小嶌不二夫代表が、人工芝グラウンドの摩耗によって生じたプラスチックごみの河川流出などを例に挙げ、「何も考えずに生活しているだけで問題を引き起こす側に回っている可能性がある」と訴えた。

 約1時間の座学に続き、選手たちは軍手とトングを手に日産スタジアム(横浜市港北区)周辺を清掃。道路に捨てられた空き缶やビニール袋などの写真を撮影して同社のアプリに投稿し、「ありがとう」のメッセージを受け取った。

 地球上の海や川に蓄積するプラごみの問題は年々深刻化。2050年までに生息する魚の量を超えるといわれている。今回の取り組みは、環境保全に力を入れる日本たばこ産業(JT)の協力で実現した。

 クラブの担当者は「ただサッカーがうまいだけではなく、グラウンド外でも模範となれるような選手を育てたい」と話し、今後は育成組織の小中学生にも講習を実施する予定。活動に参加した高校1年のGK晴柀匠弥は、「(ごみ拾いは)面倒くさいイメージがあったけれど、意外と楽しかった。人工芝など身近な環境問題もあって驚いた」と感想を語った。

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