韓国が「イオンビーム生成技術」を開発 イオン顕微鏡の国産化に弾み

韓国標準科学研究院(KRISS)は、研究チームがイオン顕微鏡の性能を向上させることができる「イオンビーム生成技術」を開発したと26日、明らかにした。

同技術は今後、高性能の国産イオン顕微鏡の開発に大きく寄与するものと期待される。

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イオン顕微鏡のようにナノメートル級の分解能を持つ先端顕微鏡は、素材や部品、バイオなどのいくつかの科学技術に不可欠な装備だ。顕微鏡業界は外国製の機器への依存度が高く、国産イオン顕微鏡の開発が急がれる状況である。

イオン顕微鏡など荷電粒子ビームを用いて映像を得たり、または成分を分析する装置でイオンビームを生成したりする技術は、機器の心臓部分に該当する。これまでイオンビームを生成する「チップ(針のよう先端が非常に鋭い形状の素材に電子ビームとイオンビーム生成に多く使用されている)」の材料としてタングステンが使用されたが、酸素環境で腐食が深刻だったことが課題であった。

画像:熱処理過程前後の透過電子顕微鏡画像の比較/KRISS

従来の研究では、タングステンのチップ先端に、酸素に腐食されない数個のIr(イリジウム)原子のみ残すため複雑な化学処理と加熱工程を経なければならず、再生回数も非常に限られていたという。

このような状況においてKRISSの研究者は、先端のIrを3原子以内の鋭い先端で製作し、高い角電流密度のイオンビームを作る技術を開発した。従来の方法に比べて工程と装置が簡素化され、製作成功率を高め、チップの使用期間を決定する再生成の回数を大幅に増やした。

研究者は、電気化学的な方法で、20 nmの曲率半径タングステンチップを作成し、このチップにIrを蒸着、真空中で加熱する簡単な工程でIrチップを作った。また、チップが断片化してなると再び1000 K(ケルビン)で加熱して、30回以上の再生成も証明した。

この技術を活用してイオンビーム加工機を開発する高い空間分解能でパターニング、蒸着などが可能になり、先端素子の開発や半導体プロセスに必要な機器の開発に適用可能である。特にグローバル企業と競合可能な高性能イオン顕微鏡も開発することができるため、イオン顕微鏡の国産化の道を開くことができるものと期待されている。

バク・インヨン責任研究員は、「今回の研究の核心は、Irチップ製作源泉技術であり、腐食に強く、ガスの種類に関係なく、安定しながらも高い各電流密度のイオンビームを生成することができる」とし、「イオン顕微鏡のイオン源、酸素環境で使用されるプローブベースの研究など、様々な分野の国産研究機器の開発に活用可能」であると述べた。

一方、今回の研究成果は、顕微鏡の分野の世界的学術誌である「マイクロスコーピオンアンドマイクロアナリシス」7月オンライン号に掲載された。

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