【高校野球】「負けさせてしまった」サヨナラ負けの敦賀気比・東監督が悔いた「采配ミス」

京都国際にサヨナラ負けを喫した敦賀気比【写真:共同通信社】

「僕が後手、後手の交代、采配をしてしまった」

悲願の夏初Vには届かなかった。26日に阪神甲子園球場で行われた第103回全国高校野球選手権準々決勝で、3大会連続10回目の出場となった敦賀気比(福井)は京都国際(京都)に、2-3で9回サヨナラ負けを喫した。

敦賀気比は両軍無得点で迎えた8回、5番の前川誠太(3年)の左前適時打、小西奏思(3年)の右犠飛で2点を先制。だが、その裏、5回途中から2番手として登板し好投していた右腕・吉崎空(3年)が、2安打と1死球で1死満塁のピンチを背負うと、今大会2本塁打の中川勇斗(3年)に対し痛恨の押し出し四球。さらに、4番の森下瑠大(2年)の高いバウンドの一ゴロの間に同点とされた。

9回、先頭の平野順大(2年)に中前打を浴びたところで、吉崎から3番手の左腕・竹松明良(3年)にスイッチ。しかし、犠打で走者が二塁へ進んだ後、8番・松下恵富(3年)に右前打を浴びると、この打球を右翼手・沼田航(3年)がファンブル。いったんは三塁にストップした走者にサヨナラのホームへの生還を許してしまった。

「僕が後手、後手の交代、采配をしてしまった。僕の采配がもうちょっとうまくいっていれば、勝たせてあげられたのにな、と思います」。東哲平監督は試合後の会見で悔やんだ。

東監督が悔いたのは先制のチャンスを逃した5回の攻撃

東監督の後悔の1つは投手の交代時期、そして、5回無死一、二塁の先制機での作戦だった。5回は9番の本田克(3年)に送りバントを指示したが、見逃しのストライクとファウルなどでカウントは3ボール2ストライクに。一転してバスターのサインを出したが、あえなく投ゴロ併殺打に終わった。

なおも、2死三塁で1番の東鉄心(3年)はセンター後方へ鋭い飛球を放ったが、中堅手の好守に阻まれて先制点を取れなかった。「しっかりバントで送らせておけば、違う展開になったかもしれない。僕の采配ミスで負けさせてしまった。もう少しうまく攻められた試合だった」と語った。

2008年から同校のコーチを務め、2011年に監督に就任した東監督。東京五輪で侍ジャパンの主力として活躍した吉田正尚外野手(オリックス)、西川龍馬外野手(広島)らを指導し、2015年春には選抜優勝へ導いた名将。今年は夏初優勝へ手応えを感じていたが、惜しくも及ばなかった。

2番手で投げた吉崎は「(優勝は)手に届く位置にあったと思います」と涙を拭った。ベンチ入り18人のうち、2年生は4番の上加世田頼希と途中出場した捕手の渡辺優斗の2人だけ。東監督は「コロナ禍でいろいろ規制されながらの高校野球生活だったが、3年生は誰1人諦めず、最後に甲子園で輝いてくれた」と称えていた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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