阪神&巨人と「3強」を形成するヤクルト 2年連続最下位チームは何が変わったのか

前年までの2年連続最下位からセ3位につけているヤクルト【写真:荒川祐史、上野明洸】

チーム防御率は昨年の4.61から3.66に改善、目立つ救援陣の奮闘

セ・リーグの優勝争いが熱い。26日終了時点で阪神、巨人、ヤクルトの上位3球団が2.5ゲーム差にひしめく大混戦になっている。開幕直後に飛び出した阪神、リーグ2連覇中の巨人に食らいつき、混セを演出しているのが昨年まで2年連続最下位のヤクルト。就任2年目の高津臣吾監督の下、大躍進を遂げている。

何よりも大きいのは投手陣の改善だろう。昨年のチーム防御率はリーグワーストの4.61だったが、今季は同4位の3.66。与四球数234は、中日に次ぐリーグ2位の少なさで、攻めの投球が好結果を生んでいるようだ。中でも救援陣の奮闘が目立ち、セーブ総数29、ホールドポイント(HP)総数106はいずれもリーグトップだ。

昨季、最優秀中継ぎ投手に輝いた清水昇投手は早くも昨年と並ぶ30ホールドポイント(HP)をマークし、今野龍太投手も20HPと奮闘している。そして、シーズン途中で中継ぎから抑えに転じたスコット・マクガフ投手はリーグ3位の18セーブに16HPと大車輪の働きを見せている。

先発陣では“新戦力”が台頭した。今季開幕直前に巨人からトレード加入した田口麗斗投手がチーム最多の16試合に先発してローテを支えてきた(8月20日に登録抹消)。昨季は1試合登板にとどまった2年目右腕・奥川恭伸投手の成長も著しい。ここまで11試合登板で5勝2敗、防御率3.88。5月5日の阪神戦からの直近8登板では、6回3失点以内のクオリティスタートを7度達成している。特に6月20日の中日戦からの4登板では3勝無敗、防御率1.67の安定感。登板数は少ないながらも存在感を示している。

1番塩見はリーグ3位の盗塁数、オスナ&サンタナの両新外国人が機能

打線はチーム打率.256(リーグ3位)、94本塁打(同3位タイ)、56盗塁(同2位)とバランスがいい。東京五輪金戦士の山田哲人内野手が26本塁打(同3位)、村上宗隆内野手が30本塁打(同2位)を放ち、1番に定着した4年目28歳の塩見泰隆外野手が18盗塁(同3位)をマークしている。

ホセ・オスナ内野手、ドミンゴ・サンタナ外野手の活躍も大きい。新型コロナウイルスの影響で合流が遅れたがすぐに日本の野球に溶け込み、オスナはリーグ4位の打率.311をマーク。サンタナも規定打席には到達していないが.281を記録している。塩見から青木、山田、村上、オスナ、中村、サンタナと打順を固定して戦えているのも強みだ。

ヤクルトの残り試合は53。ここまで上位2強との分は悪く、阪神に3勝10敗2分け、巨人には5勝8敗1分けと負け越している。阪神とは10試合、巨人とは11試合残しており、6年ぶりリーグ制覇はこの21試合をどう戦うかにかかってきそうだ。(Full-Count編集部)

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